2022年に活躍した女子アナをNHKと民放キー局5局それぞれに分け、ベスト5のランキングで紹介する本企画。第2回目はフジテレビ編をお届けする。果たしてどんな顔ぶれとなるのか。
三田友梨佳アナ
まず第5位は三田友梨佳アナだ。昨年の春改編でメインキャスターを務める『FNN Live News α』の担当が月〜木から月〜水と1日減ったものの、わかりやすい表現プラス上品な笑顔とともにニュースを届ける姿は、まさにフジの“夜の顔”。そこには幼稚園のときに始めた日本舞踊で培った、凛とした美しさが漂っている。
日曜夜にも情報番組『Mr.サンデー』で宮根誠司と共に総合司会(アシスタントキャスター)を務めているが、番組の流れ上もっとも適切なタイミングで新しい情報を紹介するなど、メインMCの宮根との息はバッチリである。
ただ、三田アナが産休に入ってしまうため、このコンビは1月限りとなってしまう(『News α』は昨年末ですでに卒業)。確かなアナウンス力に加え、知的で華やかな立ち居振る舞いが魅力でもあった彼女は、去年も選挙特番や地震速報特番、緊急報道特番などのキャスターを次々と担当。さらに安倍晋三元首相の国葬儀が行われた際には、中継開始から2時間にわたって番組のメインキャスターを務めるなど、まさに“フジの報道の要”的存在であった。
それだけに離脱は痛手なのだが、こうなるとこの1月から新たに『News α』の木・金メインキャスターを任された小澤陽子アナや月〜水メインキャスターとなった内田嶺衣奈アナの奮闘に期待がかかる。果たして三田アナの穴を埋めることができるのか、注目したい。
山﨑夕貴アナ
続く第4位は山﨑夕貴アナである。坂上忍司会の『バイキングMORE』の後続番組として昨年4月にスタートしたばかりの昼帯の情報バラエティ番組『ポップUP!』で先輩の佐野瑞樹アナと共に司会を務めたものの、初回から3.2%(ビデオリサーチ調べ・関東地区・世帯平均視聴率)と低視聴率を連発したこともあり、年越しすることなく終了する運命となってしまった。放送期間わずか9カ月。1980年以降の同局の平日正午枠の番組としては、『日本全国ひる休み』(80年4月から6カ月間放送)に次ぐ短さであった。
メインMCが2人とも局アナという“地味さ”も多少は影響したかもしれないが、2人に責任はないだろう。むしろ番組内での仕切りぶりや進行ぶりは見事で、生放送ならではのアドリブトークも冴え渡っていた。要は、どこかで観たことのある番組の“二番煎じ”のような内容が視聴者に受け入れられなかったのか、もしくはそもそも企画の問題だったのではないだろうか。
帯番組の司会という大役を任されたものの、奮闘虚しくフジの“お昼の顔”になりきれず、不幸にも自らのキャリアに傷をつける形となってしまった山﨑アナだが、“捨てる神あれば拾う神あり”。この2月からは産休に入る三田友梨佳アナの後任として『Mr.サンデー』の4代目アシスタントキャスターに就任する予定となっている。総合司会を務める宮根誠司との掛け合いが今から楽しみで、山﨑アナの逆襲に大いに期待したい。
井上清華アナ
ここからはいよいよベスト3である。第3位は井上清華アナとなった。今や『めざましテレビ全部見せ』と『めざましテレビ』の女性総合司会としてすっかりお馴染みで、文句なく“フジの朝を代表する顔”である。さらに4月改編で局の先輩でフリーアナウンサーの加藤綾子アナが担当していた『ホンマでっか!?TV』の進行役を引き継ぐ。ほかにも期首改編などの特番となれば、引っ張りだこの存在で、まさに情報系やバラエティ番組での“エース的存在”といっていい。
自身初となるプロ野球の始球式を務めたことも印象深い。福岡県出身ということもあり、故郷の福岡PayPayドームで3月25日に行われた福岡ソフトバンクホークスの開幕戦(対北海道日本ハムファイターズ戦)である。打席に敵将・新庄剛志監督を迎えての注目の一投は、山なりのノーバウンドというストライク投球だったが、ホームに届く直前に新庄ビッグボスは、その投球を両手でキャッチするという“掟破り”の行動にでるなど、球場全体を盛り上げる結果となった。
始球式を務めるに当たって井上アナは、「故郷で開幕戦の始球式という、こんなに光栄なことはありません。お話を聞いた瞬間は『大変なことだ! 始球式というのは遠い世界の話だと思っていましたし、私でいいんですか?』と、とにかく驚きました」とのコメントを寄せているが、始球式のご指名が来るということは“一流スター”の証しといっていい。フジを代表する看板アナの1人・井上アナの躍進は今年も止まることはなさそうだ。
佐久間みなみアナ
続いて第2位は、この4月で入社4年目を迎える佐久間みなみアナだ。3月まで『Live News イット!』週末版のスポーツキャスターを担当していたが、直後の春改編で週末のスポーツニュース『S-PARK』のメインキャスターに大抜擢されたのである。さらに、フジが地上波での放送権を保有するスポーツ中継(世界柔道選手権・全日本フィギュアスケート選手権など)の進行も随時担当しており、先に開催された2022 FIFAワールドカップ カタール大会の中継でもMC陣のひとりとして活躍するなど、“フジの新たなスポーツの顔”になりつつある。
佐久間アナの凄さは、なんといっても“吸収力”だろう。『S-PARK』のメインキャスターに就任した当初は、野球取材の初心者であったため、野球解説者の谷繁元信が出演するときには「(佐久間)みなみの教えて!たっちゃん(谷繁)」という質疑応答企画がエンディングパートで放送されている。そこでの理解力や成長力がずば抜けていた。2人のやり取りや掛け合いも面白く、番組内の注目のコーナーとなっていて、見逃せない。ちなみに、佐久間アナの名前の“みなみ”の由来があだち充原作の野球漫画『タッチ』に登場するヒロイン・浅倉南であることにちなんだコーナータイトル。谷繁の“たっちゃん”も同作の主人公・上杉達也、“たっちゃん”から来ている。
さらに『Live News イット!』週末版を担当していた際、メインキャスターが取材などで不在時にスポーツキャスターとメインキャスターを兼務するなど、ニュース番組でも違和感なく対応できる点も佐久間アナの強みの1つ。“次世代のフジのエース候補”といってもいいだろう。
宮司愛海アナ
さて、いよいよ注目の第1位である。それは宮司愛海アナで文句なしだろう。昨年春まで『S-PARK』のメインキャスターを担当し、週末夜のフジの顔として活躍。『2022年北京冬季オリンピック』中継のメインキャスターが、その集大成となった。
この大仕事を手土産に報道の道へ転向。春の改編でお昼の『FNN Live News days』の月・火メインキャスターを務めて肩慣らしをすると、昨秋から夕方のニュース番組『Live News イット!』の平日版メインキャスターを担当し、本格的に報道番組に挑戦することとなった。
スポーツの顔から報道の顔へ転身してまだ間もないものの、すでに“報道のエース”としてのオーラが漂い始めている点は心強い。さらにつけ加えると、スポーツから報道というのは他局でもよくみられる“王道の流れ”。宮司アナは、まさに局を代表する“看板女子アナ”に登りつめたワケである。
朝の井上清華アナと夕方の宮司愛海アナ。この2人が現在のフジを支えるツートップといっていいだろう。そしてこの2人に佐久間みなみアナを加えた3人が、これからしばらくは中心となって活躍していくことは間違いない。だが、世代的なバランスを考えると、ここに27、8歳くらいの人材が最低1人は割って入ってほしかったところである。
そこで注目したいのは、この春で入社5年目となる藤本万梨乃アナだ。新人時代は東京大学医学部卒の才女アナとして注目を浴びたものの、現在までのトータルの活躍ぶりは正直、寂しいものがある。
昨年9月に警視庁・東京湾岸警察署で1日警察署長を務めた際は話題となったが、現在の主な担当番組は『めざましテレビ』の火〜木の情報キャスターと『さんまのお笑い向上委員会』のアシスタントくらい。
だが実は、東大時代に他局の人気バラエティ番組の『TVにチラッと映った3秒美人を追跡!』というコーナーに本人登場という形で出演したことがあるほか、複数のバラエティに出演した経歴の持ち主。加えて、その美貌を武器に『non-no』(集英社)の読者モデルやAbemaTVの『AbemaNews』やBS朝日の学生キャスターを務めるなど、秘めたポテンシャルは底知れないものがある。『向上委員会』などのバラエティで派手にイジられるなど、きっかけひとつで大きく化けるのではないかと踏んでいる。