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『「有名人になる」ということ』好評記念対談(4)

【対談】勝間和代・安藤美冬「ノイズはさっさとブロック」

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【対談】勝間和代・安藤美冬「ノイズはさっさとブロック」の画像1勝間和代氏(左)と安藤美冬氏(右)
「安藤さんをリアルに知っている人が悪いことを言わない限り、大したことは起きない、ということです」
「『勝間の裏には電通がついている』とか、臆測や悪口を言う人もいましたけどね」

 経済評論家で「私塾『勝間塾』」を主宰する勝間和代氏と、今、企業からビジネスの依頼が引きも切らないノマドワーカー・安藤美冬氏。そんなおふたりが語り合った、対談企画第1〜3回目は、大きな反響を呼んだ。

 今回は第4回目(最終回)として、「意識してブームをつくる」「メンタルタフネスの大切さ」「ノイズへの対処法」などについて、語ってもらった。

 <前回記事はこちら>
 【対談】勝間和代・安藤美冬(1)「自分の仕事は周囲が決める?」
 【対談】勝間和代・安藤美冬(2)「なぜバラエティ番組に出る?」
 【対談】勝間和代・安藤美冬(3)「一発屋と定番の分かれ目」

――一般の人たちに対して情報を発信していく上で、大切なことはなんでしょうか?

安藤美冬氏(以下、安藤) 難しい質問ですね。私もいざ仕事をしよう、何か始めよう、という最初の段階でいろいろ考え込んでしまいました。ソーシャルメディアでの発信でも「どういったキーワードで発信していけばいいのか?」「読者に対してはどんな言葉づかいや表現を用いれば届くのか?」とか、試行錯誤を重ねました。結果的に、それがいま「ソーシャルメディアでの効果的な発信」というノウハウに落とし込めて、大学や民間の学校などでの講義やトークイベントなどを通じて、人に提供できているわけですが……。

勝間和代氏(以下、勝間) そのあたりのノウハウは、やはり新しいですよね。

安藤 実際、あれこれ考え込んでいた1年半~2年ほど前って、私のような一般人がどうブランド化していくか、といった問いに対するテキストが、本当に少なかったんですよ。たとえば本田直之さんの『パーソナル・マーケティング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)とか、佐々木俊尚さんの『ネットがあれば履歴書はいらない―ウェブ時代のセルフブランディング術』(宝島社新書)くらいしかなくて。あと、思いのほか参考になったのが、島田紳助さんの『自己プロデュース力』(ヨシモトブックス)っていう本なんですね。その中に、いま勝間さんがおっしゃったのと同じようなことが書かれていたんです。

定番化するための戦略

――具体的には、どのようなことでしょうか?

安藤 例えば、明石家さんまさんとかビートたけしさんといった、長きに渡って活躍されている芸人さんは、時代というY軸に合わせて、自分というX軸を微妙に変えている人たちなんだと。でも、それは微差というか、徐々に変えているものだから、受け手はそのことになかなか気付かない。そんな気付かないところで、彼らは定番化していくための戦略を周到に用意している……といった内容なんです。

勝間 その通りなんですよ。そうした戦略を自分で意識的に持たずして、ブームに振り回されてしまうと危険なんですね。だから、秋元康さん、つんくさん、小室哲哉さんといった方たちにプロデュースされた女の子たちも、どうしても本人がやり切れていない、定番になるための戦略を自分の中で消化しきれていないと思うんですよね。その点、安藤さんは自分で苦労しながら、ある意味ブームをつくっていると思うので、私は定番化していく可能性が非常に高いと考えています。

安藤 ありがとうございます。

勝間 その代わり、ブームだからこそ増えていく、変なノイズに惑わされて方向性を見失ったりすることがないように、とも思います。過剰反応して発信をやめてしまうとか。やはり重要なのは、ノイズの見極め方ですよね。ブームの時って、どうしてもノイズが来てしまう。そこで大切になるのが、ノイズを発してる人たちは、自分が定番化したときに顧客になる人たちかどうかを考えること。あるいは、自分の顧客に悪影響を与える人かどうかを見極めること。自分の顧客にならない、あるいは顧客に悪影響を与えない人であれば、どんなノイズを出されても関係もないんですよ。いま現在は単なるノイズだし、2015年にはきっとなんの関係ない人になっていますから。多分3年後には、別の安藤美冬さん見つけて、ディスったりしているはずです(笑)。

安藤 そうですね。でも、やはりキツいな、とも正直思いますね。私が以前『ニッポンのジレンマ』(NHK)という討論番組に出させていただいたとき、ご一緒したほかの論客の方がおっしゃっていたのですが、「これまでコメンテーターとして、あるいは討論のパネラーとしてテレビに出ても、視聴者の反応というのはあまり見えてこなかった」と。でも、今はツイッターなどで、リアルタイムにどんどんコメントが寄せられますよね。実際にオンエア中に携帯を見てみると、視聴者の方の反応が、即時に、かつ膨大に寄せられてくる。

求められるメンタルタフネス

――厳しい時代ですね……。

安藤 そういう時代って、本当にメンタルタフネスが求められてるよなぁ、と痛感しています。それをどう自分で解消していくのか、そして自分の軸をいかにぶらさずに受け手の人たちに自分の率直な言葉を発信していくのか……といったことが求められるな、と。『情熱大陸』(TBS系)が放送されたときにも、そういう思いはすごく感じたんです。24分間の放送の中で、ツイッターのフォロワー数が1万4000人も増えたんです。放送前は約1万人だったんですけど、放送後には2万4000人ほどになった。そして、その後も毎日1000人ずつ増えていきまして、放送から1週間くらいで約3万人になったんです。放送に関する反応はもちろんのこと、自分が毎日発信するツイートに対しても、いろんなリプライが殺到するようになったんですね。正直に明かしてしまいますが、そうなると、受け手の人たちに良く思われるようなツイートを、どうしてもしたくなってしまうんです。

勝間 それはそうですよ。人間ですからね。

安藤 はい。どうしてもウケを狙ってしまうし、批判が来そうなツイートをやめてしまう。たとえば、読んだ本の感想ひとつを取っても、読み手が感じるであろう事柄を先読みしようとしてしまうというか。「これをツイートすることで、受け手はどう捉えるんだろう?」ということを考えてしまうんですよ。以前から「ノマド」「ソーシャルメディア」「フリーランス」「セルフブランディング」という4つのキーワードで発信していましたが、たとえば『情熱大陸』に出る前は、そのキーワードに反応して私の存在を意識してくれた方が、大半だったと思うんですね。

勝間 それらのキーワードに対して、ある意味ポジティブな捉え方をしている人たちがフォロワーの大半だった、ということですよね。

安藤 そうですね。ただ、最近は一概にそうも言っていられないというか、ノイズのような声も当然増える一方で、必要以上に私をある種、ありのままの姿以上に捉えて賞賛したり憧れたりするような人も増えました。特に『情熱大陸』以降、いままで私のことを知らなかった人たちにも一斉にリーチをしていただいて、想像以上にたくさんの人に見られている、みたいな感覚が強くなりました。

どうでもよいノイズはブロック

勝間 私のアドバイスとしては、どうでもいいようなノイズはさっさとブロックしちゃえ、ですね(笑)。単なるノイズのような声はブロックしてしまえばいいし、まっとうだと思ったら会話をすればいい。その2択しかないですよ。

安藤 なるほど(笑)。あと、ノイズ的な声を上げる人のことを、自分なりにいろいろ考えてみたんですけど、たとえば、すべての人が勝間さんの著書で語られている内容を適切に理解したり、私のソーシャルメディアに関する講義の内容を踏まえて、忠実に実践できたりするわけがないよな、とも感じるんですね。そういうのは致し方ないのかな、とも思ったりするんです。

勝間 私は、受け手にはぜひ、自分なりに解釈してほしいんですよね。もちろん私が述べているのは、環境や能力、時代を踏まえて、最適化した方法ではあるのだけど、それって要は、「根っこには、こういう考え方とこういう構造と、こういうスキルがあるから、それを参考に、自分のやり方を見つけてください」ということでしかないんですね。たとえば私の本にある通りのセリフで、職場で依頼を断ったりしたら、そりゃ不気味ですよ(笑)。

安藤 ひとまず最初は模倣からだとしても、なるべく早く自分なりのやり方を見つけていくことが大切、ということかもしれませんね。

 <前回記事はこちら>
 【対談】勝間和代・安藤美冬(1)「自分の仕事は周囲が決める?」
 【対談】勝間和代・安藤美冬(2)「なぜバラエティ番組に出る?」
 【対談】勝間和代・安藤美冬(3)「一発屋と定番の分かれ目」

●勝間和代(かつま・かずよ)
1968年東京生まれ。経済評論家、中央大学ビジネススクール客員教授。早稲田大学ファイナンスMBA、慶応義塾大学商学部卒業。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得、大学在学中から監査法人に勤務。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。現在、株式会社監査と分析取締役、内閣府男女共同参画会議議員、国土交通省社会資本整備審議会委員、中央大学ビジネススクール客員教授として活躍中。少子化問題、若者の雇用問題、ワークライフバランス、ITを活用した個人の生産性向上、など、幅広い分野で発言をしており、ネットリテラシーの高い若年層を中心に高い支持を受けている。

●安藤美冬(あんどう・みふゆ)
株式会社spree代表取締役社長、自分をつくる学校学長。1980年生まれ、東京育ち。
慶応義塾大学、集英社を経て11年1月独立。ソーシャルメディアでの発信とセルフブランディングを駆使し、複数の仕事、複数の肩書で仕事をする独自のノマドワークスタイルは、「一切営業することなく仕事をするフリーランスの女性」としてジャーナリスト佐々木俊尚さんに紹介されるほか、『情熱大陸』『ニッポンのジレンマ』「朝日新聞」などのメディアでも多数取り上げられる。書籍の企画、イベントプロデュース、野村不動産、リクルート、東京ガスなど企業が参画する「ポスト団塊ジュニアプロジェクト」のアドバイザリー業務、自らが学長を務めるセルフブランディングをテーマとした「自分をつくる学校」の運営など、多岐にわたる仕事を手がけ、新しいワーク&ライフスタイルのオピニオンリーダーとしての活躍が期待されている。

BusinessJournal編集部

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