人間関係に悩む人は多いですが、真剣に自問自答している人は果たしてどれほどいるのでしょうか?
昨今の複雑化する社会環境の中で、人間関係を苦手に思う人がビジネスパーソンを中心に非常に増えており、その対応として自己啓発本やさまざまなセミナー・研修等に走る人が多いようです。その傾向に対し、『仕事も人生もうまくいく 人間関係「間合い」術』の著者で、浄土真宗本願寺派僧侶、保護司、日本空手道「昇空館」館長も務める向谷匡史氏は、次のように警鐘を鳴らしています。
「人間関係を苦手だと思い込んで、自己啓発の本やその類の研修に救いを求めても何も変わらず、苦しみから解放されることはありません。まず人間関係の本質に目を向けなくてはいけないのです」
自己啓発本や研修は、手っ取り早く情報を得られるため、そこから即効性のある対処法を身につけたいと考えてしまいますが、付け焼き刃で活用できるような情報はそうそうありません。向谷氏は、人間関係で重要なのは間合いだといいます。
「武道でいう間合いと同じで、相手と対峙した距離のことです。自分は相手とどのように付き合っているのか、今後どのような人間関係を築きたいのかなどによって、接し方は千変万化します。
例えば、甘え上手な人は、ここぞというタイミングで相手の懐に飛び込んでいく間合いの取り方がうまい。また、隙を見せることによって間合いを詰めてく人もいれば、微妙な間合いを取りながら相手の無理難題をかわす人もいます」
●距離を縮める会話
ビジネスの場にあっても、自分のプライベートな部分を明かすことで、相手を信頼していると暗に伝えることができます。とかく、公私は別のものと考えがちですが、プライベートなことを一切明かさないと、人間関係においては距離がなかなか縮まりません。
具体的に、プライベートな話題を相手に伝えた場合を見てみます。
部下「部長、実は今度結婚することになりました」
上司「そうかおめでとう!」
部下「まだ誰にも話していないので、ここだけの話にしてくださいね」
上司「私に最初に話してくれたんだね。うれしいよ」
「あなただから話した」という特別さを出すことで、信頼を寄せていることを相手に知らせ、しかも相手が構えないようにさりげなく話すことで、心の距離は大きく近づくものです。
反対に、プライベートなことを一切話さない場合はどうでしょうか?
上司「最近結婚したそうじゃないか」
部下「はい。先月、結婚しました」
上司「ひと言いってくれればいいのに。水臭いなあ」
部下「仕事には関係のないプライベートなことですから」
この上司は、部下に対して決してよい印象は持たないでしょう。
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