●言葉の用い方で人生は変わる
また、上司にご馳走になった場合のお礼として、下の2つのパターンはどちらが望ましいでしょうか?
1.「部長、昨日はご馳走様でした」
2.「部長、昨日のお店の刺身はとてもおいしかったです。ありがとうございました」
「ご馳走様でした」というのは、形式的な挨拶です。これではなかなか相手の心には響きません。
上司が部下を食事に誘う際、大衆店でない限り、そのお店を選んだ理由が存在するものです。「このお店は、刺身がおいしいんだ」「ここは毎朝、築地から活きのいい魚を仕入れているから、間違いはないよ」……会話の中にこのようなウンチクが入っていた場合、上司は、刺身がおいしい店に連れて行ったという自負がありますので、そこを刺激する言葉でお礼を述べるのです。
心がけるべき点として、人間関係は言葉を巧みに使う技術によるということです。このような技術を知っているか否かでは、長い社会人生に大きな差が出てくることは明白でしょう。
私たちが社会で覚えなくてはいけないことは、たくさんあります。その中でも、人間関係をうまく築くことこそが最も重要であると、向谷氏は断言しています。
「人間関係が広がれば、視野も人間の器も大きくなっていくものです。器が大きくなれば自然と人も集まり、仕事も人生も良好に循環するようになるでしょう」
人間関係や仕事で壁に当たって悩んでいる人は、間合いと言葉選びのコツをつかむことで、解決の道筋を見つけられるかもしれません。
(文=尾藤克之/経営コンサルタント)
●尾藤克之(びとう・かつゆき)
東京都出身。経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。人間の内面にフォーカスしたEQメソッド導入に定評。リスクマネジメント協会「正会員認定資格HCRM」、ツヴァイ「結婚EQ診断」監修等の実績。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。
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