働く女性に立ちはだかる現実「責任が大きい仕事は男性に」
「統計をとってみると、男性は、、利益や売り上げを追い求め、会社の規模を拡大させていく経営を求めますが、女性は、生活とのバランスを取りながら、地に足がついた経営を好む。そういう意味では、女性のほうが現状をしっかりと認識しながら動いていく『リアリスト』であるといえるかもしれません」
現在、内閣府の男女共同参画連携会議有識者委員を務め、政策的な観点からも女性を支援する立場にある横田氏。
「アメリカでは、国から発注する仕事の5%、額にして3000億円は、小規模事業を運営する女性起業家が経営する会社に依頼するという政策を行なっています。国策として、女性経営者を育成しようとしているんですね。また、先日発足したフランスのオランド政権は、閣僚の半分が女性であることが話題となりました。日本ではここまでの動きは出てきませんね」。
世界はすでに女性に活躍の場を与えている。片や野田内閣では女性閣僚はわずか2人。参議院議員における女性の比率は18.2%(2010年)、衆議院にいたっては、わずか11.3%(2009年)というのが現状だ。日本社会は、ジェンダーの側面からみても“ガラパゴス化”のそしりを免れない。
では、女性の能力はビジネス面で、どのようなメリットがあるのだろうか?
「例えば、夫婦がマンションを購入する時、強い決定権を持つのは女性の場合が多い。不動産業界は男性が中心となって活躍する業界といわれていますが、女性側からの視点、例えば子育ての視点がモデルルームに入っていることはプラスに働きます。また、女性起業家の製品で、外れにくいピアスキャッチを大ヒットさせた事例もあります。これは、彼氏からもらったピアスがなくなってしまい、大げんかになったことから考えられた商品です。男性の常識からでは発想できないアイデアを形にしてくれるのが女性起業家の面白い部分ですね」
子育てや介護環境の不備など、「女性と仕事」を取り巻く状況はいまだに厳しいまま。しかし、彼女たちのアイデアをうまく取り込むことが、ビジネスのブレイクスルーを生み出すことになるかもしれない。
(取材・文=萩原雄太/かもめマシーン)
・横田響子(よこた・きょうこ)
1976年生。お茶の水女子大学卒業後、’99年株式会社リクルート入社。6年間人材部門を中心に営業・新規事業立上げ・事業企画を経験後退社。2006年株式会社コラボラボ設立。女性社長を紹介する「女性社長.net」、女性社長300名が集結するイベント「J300」、女性社長の逸品を販売する「Wooooomen’s!(ウィーミンズ)」を企画運営。女性キャリアデザイン協会理事、内閣府・男女共同参画推進連携会議議員を務める。