広告費ゼロで会員5万人?ソーシャルランチ人気の秘密
福山 会員が増加した主な要因は、テレビ番組などのマスメディアで取り上げていただいたことが大きいです。その際には、「いかにクリーンなイメージを保つか」ということに心を砕きました。ソーシャルランチのサービスは、一見出会い系サービスのようにも受けとられがちです。もちろん、出会い系として取り上げたいというメディアもありましたが、そのような取材はお断りするか、調整していただくようにしました。一方、広告出稿などはまったくしませんでした。ユーザにとっては、ソーシャルランチそのものが非日常体験。だから自然にブログとかFacebookに書いてもらえるんです。その口コミが、回り回って職場などで話題になっている。中には、Facebookをやっていない友達を登録させて、一緒にランチ申請するというようなことをしているユーザもいるようです。
ペアでランチがユーザを広げる起爆剤に
――ソーシャルランチが今の形になったのは、どのような経緯からですか?
福山 最初のテスト版を立ち上げた時は、ペアで登録して参加するというコンセプトではありませんでした。その中に2人でも申し込みできるという程度の機能しかなかった。しかし、ユーザのニーズは、どうやら2人、つまりペアでランチに参加したいというのが圧倒的に多かった。そこで、「ペアでないとサービスが利用できない」というように変更しました。そうするとユーザにとっても安心ですし、逆にプロモーション的にも、「面白そうなサービスだな」と思うと誰かとペアを組んで申し込んできて、さらにその誰かが別の人とペアを組んで、ランチ申請をしていく、というようにどんどんと広がっていったのです。
――具体的にサービスで工夫されたのは、どのような点ですか?
福山 例えば、「ソーシャルランチしたいな」と思い登録をする。するとシステムがマッチングをしてくれて、ランチ相手の提案がくる。しかし、メンバーによっては「どうしようかな……」と思うときもありますよね。そこで、
「誰かから申請を受けて、興味があれば承諾する」
というシステムにしました。ビジネスランチというのは断るのが難しい。ランチ申請に3日間の有効期限を設けて、それを過ぎるとランチ申請が無効になるようにしました。断るどころか断れないという仕様ですね。いいわけというと変ですが、あくまで申請を見ていなかったということにもできますし、たくさんランチ申請がくる中で、「すみません」と1個ずつ消していくのは、ユーザにとってもあまり気持ちのいいものではないと思います。そのようにして、サービスを利用するユーザが、あまりストレスを感じないようにし、日常生活により溶け込んだサービスを目指したのです。