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コストアップ、人材流出などのデメリットは多いけど……

NYオフィスを“開設せざるを得なかった”フェイスブックの憂鬱

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NYオフィスを“開設せざるを得なかった”フェイスブックの憂鬱の画像1フェイスブックザッカーバーグCEO。
(「ウィキペディア」より)
リサーチ/マーケティング会社NYCOARA,Inc.代表であり、小泉内閣時代には、竹中平蔵経産大臣の発表資料作成にも携わった田中秀憲氏が、アメリカ在住の目線から気になったトピックを掘り下げる。

 今年株式を公開し、ザッカーバーグCEO以下経営陣が、一夜にして億万長者となったことがメディアをにぎわせたフェイスブック。同社に限らず、ITベンチャーの成功組は、そのいずれもが今や世界的な大企業へと成長し、IT分野のみならず、経済全体への影響も大きい存在となっている。アップルやグーグルといった先行事例は、その社名が世界的にも著名なものとなっている。

 彼らの拠点はシリコンバレー。西海岸独特の自由闊達な空気に、温暖な気候。比較的安価な家賃や、何より優秀な人材を登用しやすいといった実利的な面も大きい。もちろんフェイスブックも、この地に本拠地を置いている。ザッカーバーグCEOはニューヨーク郊外の出身で、ハーバード大学在学中にフェイスブックを創業した「東海岸」の人なのだが、それでもITベンチャーとして事業を成長させるためには西海岸を選んだという経緯がある。

 そのフェイスブック。株式公開に先立つ数カ月前に、ニューヨークはマンハッタンに大規模なオフィスを開設している。場所はマンハッタン島のほぼ中央。そのオフィスは成功企業らしく「素晴らしい」の一言に尽きる。開設直後にはメディアにも公開され、その好待遇にも注目が集まった。無料のジムやカフェまでが美しいインテリアとともに用意され、待遇も好条件となれば、長引く不景気下で日々厳しい生活を強いられる多くのニューヨーカーたちは、彼らのオフィスを羨ましく思うだろう。

成功したベンチャーたちのブーム

 そしてニューヨーク、マンハッタンの中心部に新たにオフィスを構えるというのは、「ブーム」とでもいうほどに、多くの大成功したITベンチャーたちの、新たな「定番」になりつつある。世界に名だたる大都市ニューヨークであるのだから、そこにオフィスがあっても何ら不思議ではない。特に動きの激しいIT業界にあっては、「他企業との連携や資金調達、メディアへの露出など、ニューヨークにおける拠点は必須」ともいえるだろう。ザッカーバーグを筆頭に、近年では東海岸の有名大学出身の起業家、従業員もますます増えてきており、彼らは遠い西海岸よりも身近な東海岸に生活の拠点を置きたがるケースも多くなってきている。

 しかし、そこにはもう一つの要因も存在する。それは、まさに彼らが“成功企業である”という点。人並みはずれて高給取りとなった彼らは、西海岸の田舎にいては、その資産を自分たちで楽しむ機会が少ない。ましてや、その従業員の多くが比較的若い年齢層ともなれば、週末に街に繰り出したりしたくなるもの。

 ファイスブックが入居するビルがあるのは、マンハッタン内でも先端をいく流行に敏感とされる地区。おしゃれなブティックやレストランが軒を並べ、スーパーマーケットでさえ高級志向というエリアだ。もちろん、いずれもお手頃価格ではない。ところが、21世紀のIT長者たちは、意にも介さずここでのニューヨークライフを楽しんでいる。このエリアで営業しているカフェ・レストランのシェフも、

「ディナーだけではなく、ランチタイムにも多くの客が来るようになりました。皆若い方々ですが、身なりも良いし、羽目を外した大騒ぎなどにも無縁です。客層としては申し分ないですね」

と、大歓迎のようだ。

BusinessJournal編集部

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