さまざまなテレビ番組や雑誌などでもお馴染みの購買/調達コンサルタント・坂口孝則。いま、大手中小問わず企業から引く手あまたのコスト削減のプロが、アイドル、牛丼から最新の企業動向まで、硬軟問わずあの「儲けのカラクリ」を暴露! そこにはある共通点が見えてくる!?
金メダル、銀メダル、銅メダルの価値
ロンドンオリンピックの夏が終わった。
金メダル7個、銀メダル14個、銅メダル17個、合計38個は、まちがいなく健闘といってよい。少子高齢化で若年人口が減少しているなか、この38個は日本人が能力的に進化しているのではないかと思わせるほどだ。
オリンピックに魔物が住んでいるのか住んでいないのか、私にはわからない。ただ、文字通りの一発勝負で1位を決めるわけなので、実力以上の精神力や運が必要なのは間違いない。それに、アジア諸国では、オリンピックで選手一人ひとりにかかるプレッシャーはすごいのは事実だ。私の知人の米国人たちがオリンピックにさほど興味がないことと対照的に、日本を含めたアジア諸国は、オリンピックスタジアムで国の威厳を争っている。
私は以前、スポーツメンタルコーチの著名人の講演を聞いたことがある。氏は、「日本の上場会社を3000社としてください。上位20名が役員クラスだとすると、6万人もいるんです。つまり、サラリーマンの世界では6万位に入ればいい。しかし、世界一を目指そうとする柔道家は、銅メダルでも『日本に帰ることができない』と落涙する。厳しさがまったく異なる。サラリーマンなんて甘っちょろいもんなんです」と話していた。
私はそのとき、深い感銘を受けた。もちろん、サラリーマン界と柔道界の人口を等しく語ることはできない。ただし、アスリートたちがサラリーマンの想像できない世界にいることは事実だろう。
ところで、金・銀・銅メダルで、報酬的な違いはどの程度なのだろうか?
JOC(日本オリンピック委員会)は、
・金メダル:300万円
・銀メダル:200万円
・銅メダル:100万円
をそれぞれ支給してきた。もちろん、各競技の協会から追加で報奨金も支払われるものの、この100~300万円を世界のトップ報酬国と比してみよう。
ロンドンオリンピックの金メダル報酬金について報じた「BBC NEWS」によれば、
・シンガポール:80万ドル
・カザフスタン:25万ドル
・キルギス:20万ドル
・ウズベキスタン:13万5000ドル
・ロシア:13万5000ドル
と続き、
・米国:2万5000ドル
となっている(ちなみに、別のニュースでは、英国では金メダルでも無報酬と話題となった)。