ーーそもそもOSがなんたるかも分かってない状態で、なぜIT業界だったんですか?
福留 ちょうど転職しようと思い始めてたころに、たまたま「ダ・カーポ」(マガジンハウス)って雑誌の表紙にデカデカと「IT力が年収に差をつける」って書かれてるのを見て、「そうか、時代はITか」と思っちゃったんですよね。で、それまでは「ガテン」(リクルート)で仕事探してたくせに、急に「Bーing」(同)とかを買ったりして。最初のうちなんて、無知すぎて作業着のまま面接に行ってましたしね。
ーー作業着のやつがいきなり来て、「OSって何ですか?」は、確かに狂気の沙汰ですね!
福留 まぁ、当然めちゃくちゃ落ちましたよ。求人の「未経験可」って言葉を信じて行ってみたら、「キミ、それはプログラムがってことであって、パソコン未経験のことではないよ」とか言われてね。でも、1社だけ受かって、完全に未経験なのに「経験2年」のプログラマーとして銀行のシステム開発の仕事をすることになったんです。当時はちょうど銀行の統合時期で人手不足。まさに、いないよりマシって状態だったんですね。
ーー現場では、意味不明な専門用語が飛び交っているわけですよね。怖くはなかったですか?
福留 そりゃ怖かったですよ(笑)。先方との打ち合わせで「来週までに2本ぐらい急ぎで作ってもらいたいんですけど、この程度だったらできますよね?」とか、いきなり言われちゃうわけですからね。そうなると、もうどうにもならないから周りの人に助けてもらうしかない。だから、隣の席のまだ20歳そこそこの若い子に「なんでここにいるの?」とか「ホントバカだな」とか罵倒されながら、必死で吸収しましたね。
ーーヘタにプライドがあったら、続けられませんよね?
福留 いまはこうしてネタにできてますけど、当時はやっぱりすごいキツくて、ストレスで体重が10kgぐらい落ちちゃった時期もありました。でも、「この道で生きていくんだ」って自分で決めた以上、目の前にあることからやっていくしかない。そこに年齢は関係ありませんからね。まぁ結果的に、4年たって辞めるころには、「全然違う道に来ちゃったな」ってことに気づいちゃってたわけですけど(笑)。
ーーホリエモンみたいなのを想像してたのに、と。
福留 ですね。ただ、やってよかったなとは思ってますよ。インプットをたくさんしすぎて「やめといたほうがいいかな、ムリだろうな」って動けなくなるよりかは、分からなくてもまず動いてみるほうがずっといい。そこに「自分がこう変わりたい」ってものがあるなら、その気持ちを大事にしたほうが、大変でもそれなりに道は拓けていくんじゃないかと思うので。そういう意味でも無知さってひとつの強さなんですよね。
ーーそれこそが「バカが武器」だったわけですね。では、現在はどうでしょう? ご自身は、名前からしてバカっぽい『変態企業カメレオン』の代表にして、“先進バカ企業”が集うイベント『青春! バカサミット』の主催者でもあるわけですが。