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同人誌は著作権侵害? 回避は簡単なのになぜ事件化&泥沼化するのか?

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 こんにちは。江端智一です。

 前回前々回と、少女マンガのキャンディキャンディにまつわる事件から二次的著作物の権利関係を整理し、同人誌の著作権問題をキャラクターの観点から、マンガやアニメなどの原作、元ネタがある創作物の成人向けパロディを記載した同人誌=「薄い本」を引き合いに出しつつ説明させていただきました。

 その目的は、創作を保護する法律や規制が、別の創作を妨げることもあり、ある種の創作活動は、「その気になれば、いつでも、どこからでも潰され得る」というリアルな現状を理解していただくことでした。それがたとえ、趣味として自分のホームページで開示しているだけでも、また、自腹を切って自分で印刷して無料で配布していても、違法行為であることから免れることはできないのです。

 例外があるとすれば、自分の机の引き出しの中に隠し続けているあなたの「秘密のノート」での創作活動などになります(具体的には、「著作権法第2章第3節第5款に記載 著作権の制限」の行為に限られます)。

 さて、最初にお断りしておきますが、本コラムでは、別段の定めがない限り、「他人の著作物に依拠して創作された著作物のうち、当該他人の許諾を得ていないもの」を「同人誌’」と記載致します。また、今回のコラムでは「著作者」と「著作権者」という用語が何度も登場しますので、このコラムのイラストの例を使って、簡単にご説明致します。

筆者提供
 このイラストを実際の絵として完成させたのは小学4年生の娘(次女)ですが、その図案を創作したのは私です。この場合、このイラストは、「娘(次女)」と「私」の共同著作物となり、この二人が共同著作者となります。一般的に、著作者=著作権者となりますので、この段階では、二人とも著作権者(共同著作権者)になります。

 しかし、万が一、娘(次女)が、「Business Journalなんかに、私のイラストを使われるのはイヤー!」と泣き叫んだら掲載ができなくなります。ですので、私は、娘(次女)の著作権の持ち分を、対価(600円)を払って譲渡してもらっています。

 この結果、権利関係は以下のようになります。

・著作者:娘(次女)と私の二人。著作者は(たとえ100万円払おうとも)変更できない。
・著作権者:私だけ

 この「600円」の支払いをもって、私は、このコラムとイラストの両方の著作権を専有している状態になり、ここで、私は単独でBusiness Journalに対して、Web公開の許諾ができるようになるわけです。

●解決の「方法」は簡単である

「同人誌’」事件に見られる侵害行為を回避する方法は、びっくりするほどに簡単です。

 その答えは、「『著作者』と『著作権者』の二人(多くの場合、同一人物)から許諾を得ればよい」のです。

 次のような感じです。

「あなたのマンガをベースとして、あなたのマンガのキャラクターを登場させた『成人向け同人誌’』をつくりました。ぜひご覧ください。そして、これを使って、同人誌即売会で販売する許可をください」
「無償で許諾をいただければうれしいですが、もし駄目なら収益の50%を差し出します。何卒、何卒、よろしくお願いします」

 これで、著作者(マンガ家)と、著作権者(マンガ家、まれに出版社)の許諾を得れば、「同人誌’」ではなくなり、それが成人向けであろうが何であろうが、天下御免で、正々堂々と販売して、収益を得ることができます。

 このような手続を行っている以上、100%合法行為なので、国家権力といえども手を出すことはできません(成人向け同人誌の問題は、公序良俗の問題もパスする必要がありますが、今回は割愛します)。