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ブラック企業ランキング常連企業をフォローする

資格のLECは正統派ブラック?パワハラ、リストラ、ハードワーク、給与不払い…

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「Thinkstock」より
 世の中には「ブラック企業ランキング」「不人気企業ランキング」といったものが存在する。しかし、ブラック企業アナリストの新田龍氏によれば、「ブラック企業」に該当しない企業が含まれていることがあるという。内情は優良企業でさえあるのだが、その企業が属する業界や、一部の個別企業によるダーティなイメージが投影されている可能性があるためだ。新田氏がそのような企業を取り上げ、「何がブラック企業イメージの原因か」「実際はどうなのか」について、多角的に分析していく。

 世間から「ブラック」と名指しされる企業にも、ある一面から見ればフォローできる要素もある、という主旨でお送りしている本連載。今まで何度か、「フォローするつもりで情報収集していったところ、とてもフォローできる材料が見当たらなかった」というホンモノのブラック企業が登場したのだが、今回もそのパターンに当てはまる。

「東京リーガルマインド」である。

 同社は「LEC」(レック)の通称で、弁護士や公認会計士などの資格取得支援予備校を全国規模で展開している。その他、会計大学院の運営、大学・学校向け講演、企業研修、職業能力開発・雇用支援講座受託運営、書籍出版など、教育全般で事業を行っている会社だ。

 公共性・公益性が高い事業に携わっているだけに、さぞ高邁な理想をもって経営されていると思いきや、複数の関係者に取材したところ、内情はまさに正統派(?)ブラック企業のモデルケースそのものであった。

 ワンマン経営者の思いつき経営と、イエスマンだけが出世できる情実人事、幹部社員によるパワハラ、見せしめ的降格、一方的な給与カット、指名解雇すれすれのリストラ、過酷なノルマ、ハードワークの割に薄給、経費不払い……など、挙げていけばきりがない。ブラック企業を象徴する事象のデパート状態だったのである。

 詳細は筆者メルマガの特集記事(vol.40,41)でご覧いただくとして、これまで関係者のお話を聞いていた私は、本当に疑問であった。

「なぜそんなひどい仕打ちを受けながら、もしくは目の当たりにしながら、社員たちは同社に残り続けるのだろうか?」

 私自身がこれまで見てきた例では、「ハードワークだが、責任ある仕事を任されてスキルになる」「プレッシャーはキツいが、その分、給与が高い」など、厳しいなりの「見返り」があることがほとんどであった。しかし、同社においては、あまりにその見返りも些少なように思える。

●ブラックでも、ごく一部の社員にメリット?

 そんな疑問を持ちながら、さらに詳しくお話を聞いていくと、ごく一部のカテゴリに当てはまる人にとっては多少のメリットがあることが判明したのだ。同社の場合、そのカテゴリは次の3種類あると分析している。これは、他の「なぜそこで働いている人がいるのかわからないくらいのブラック企業」でも当てはまる要素であろう。

(1)経営者信奉タイプ

 同社の場合、顧客ターゲットの一部は「就職できない年齢になるまで資格試験勉強をやっていた若者」である。同社は彼らをアルバイトとして多数雇用し、ある程度の「ブラックな仕事」を受け入れられた者を役職付きとして登用していったのだ。当然、会社にも経営者にも「拾ってもらった恩義」を感じることになる。

 また同社の反町勝夫会長は「LECの公共事業で国難を救うぞ!」と日々号令しており、そのような大義名分に感化された層も一定割合存在する。

 しかも彼らは、就職活動や他社の転職歴が乏しいため、労務コンプライアンスについての一般的な水準を認識できていない。

 同社にはこのような「バイト上がりのLECしか知らない若者幹部」が幅を利かせており、インタビューに対応してくれた元社員は、その弊害をみな口にしていた。実際、現社長の松本元氏も、35歳まで司法試験勉強をやった後、会長にパートで雇われて今の地位まで登りつめた人物だ。似たような境遇の社員を重用し、重用された社員は、松本社長や反町会長のパワハラ的振る舞いを、「そういうもんなんだ」と思い、頭に刷り込み、真似してしまうことになる。

(2)自分の時間を大切にしたいタイプ

 同社は退職者が多く常に人手不足なので、かえって「多様な働き方」に対して寛容である。したがって、育児休暇後の復職や時短勤務をしやすい。時間に制限のある人にとっては、むしろ働きやすい会社といえるかもしれない。