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日本郵便、会員サービスめぐる訴訟にノーコメント、総務省「調査会立ち上げ検討中」

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 5月30日、原告側代理人より「本件訴訟進行に関する意見書」として、当サイトに掲載された記事が原因で、関係者らに混乱をきたし、訴えを取り下げざるを得なかったと主張しているのだ。何かよほどやましいことがあったのだろうか。裁判は公開のものであり、そのような理由が訴訟取り下げの理由にすらならないことは、関係当事者が一番よくわかっているはずだからだ。

 日本郵政は、平成27年秋に上場する計画を立てている。政府は、株式上場で見込まれる売却益を東日本大震災の復興財源に充てるというが、株式公開を控えた企業として、このような無責任な態度が許されるのだろうか。

 株主である国の財政を司る財務官僚は、次のように話す。

「物販サービスは日本郵便の完全子会社であり、日本郵便は日本郵政グループの完全子会社であり、日本郵政の株主は国です。そして日本郵政がいまだにパブリックセクター(公的機関)であることに変わりはない。事件のあらましについて説明する道義的責任は、当然あるはず」

 日本郵便の報道担当者が筆者へ寄せた一連の回答について、同氏は「日本郵便、日本郵政としてのコメント」と語った。つまり、高橋亨日本郵便社長だけでなく、同社とゆうちょ銀行、かんぽ生命保険をも傘下に収める、日本郵政の西室泰三社長の意見をも代弁しているということになる。

 ちなみに、高橋社長は、昭和52年に一橋大学経済学部を卒業後、旧郵政省に入省。郵政企画管理局総務課、郵政公社統括官室などでキャリアを積み、一貫して郵便畑を歩いてきた。日本郵政副社長を経て、今年社長に就任した。

 一方西室社長は、東芝社長、東京証券取引所取締役会長を歴任した財界の大物。その言葉は、高橋社長以上に重いものであろう。

「西室さんも高橋さんも、民主党カラーを払拭する安倍政権を象徴する人事です」と、自民党議員は説明する。

 しかし、今回起きた裁判や日本郵便の報道担当者の言動は、安倍政権の目指す方向性とは明らかに真逆で、極めて閉鎖的なものだといわざるを得ない。

●総務省「事実関係を調査中」

 本件について日本郵政グループを所管する総務省は筆者の取材に対し、「現在、本件に関する調査会を立ち上げるべきかの判断を行うためにも、事実関係の把握に努めております」とのことだった。

 7月4日、争点なき参議院選挙が告示される。全国の郵便局長でつくる全国郵便局長会(全特)の柘植芳文前会長が自民党公認で立候補するが、柘植元会長は、日本郵政グループの新規業務参入と拡大を強く主張している。背景には、TPP交渉参加に向けたテーブルで、米国側からそれこそ現在日本郵政が手掛ける分野=“郵政マター”)への「新規業務参入」や「障壁撤廃」を突きつけられることへの恐怖感があると見られている。

 そもそも全特の候補者が、05年の郵政選挙で郵政民営化をめぐり激しく対立した自民党から出馬すること自体、おかしいではないか。そこまでして「既得権益」を守りたいのかという疑念が払拭できないのは、筆者だけではないだろう。

 7月21日までの投開票日まで約3週間。「国民一人ひとりが株主かどうか明確ではない」と斬り捨てられた国民は、果たしてどのような決断をすべきなのか。自民党の大勝が見えている選挙だからこそ、我々の一票はいつもよりも重いものになる。政策と人をよく見極めた上で、投じるべきだろう。
(文=横田由美子/ジャーナリスト)

BusinessJournal編集部

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