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好調続く住宅着工戸数、消費増税後に反動減の懸念高まる〜前回増税時は2ケタ大幅減

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新設住宅着工戸数(総戸数)の推移の比較(「国土交通省HP」より)
 住宅市場の活況がピークに近づいてきた。国土交通省が発表した7月の新設住宅着工戸数は8万4459戸と、前年同月比で12.0%増えた。これで11カ月連続の増加となり、年率換算では97万5000戸増となる。

 種類別に見ると、持ち家は3万1473戸(前年同月比11.1%増)、貸家は3万1012戸(同19.4%増)、分譲マンションは9977戸(同0.6%増)、分譲戸建て住宅は1万1305戸(同8.4%増)。すべて増加しており、特に持ち家と分譲戸建て住宅はともに11カ月連続の増加だ。持ち家は年率に換算すれば34万戸増で、リーマン・ショック前の2006年の水準に迫る。分譲マンションは7月に大規模物件が少なかったため、若干増にとどまった。

 大手住宅メーカーの戸建て住宅の受注は好調だ。最大手の積水ハウスの7月の戸建て住宅受注金額は、前年同月比で22%増、大和ハウス工業は15%増、住友林業は32%増、三井ホームは23%増。ミサワホームは4%増、パナホーム21%増と軒並み増加した。注文住宅に強いメーカーほど伸びは高く、4~7月の累計金額は住友林業23%増、三井ホーム27%増である。

 住宅取得を後押ししているのは、来年4月に予定されている消費税率の8%への引き上げに備えた駆け込み需要と、金利や住宅価格の先高感だ。今月までに住宅の工事契約を結べば、入居が来年4月以降でも消費税率は5%が適用される。そのため今月いっぱいまでは駆け込み需要が続くとみられている。

 12年の新設住宅着工戸数88万2797戸。13年は年率換算で90万戸台のペースで進んでおり、4年連続で前年を上回るのは確実な情勢となった。

 08年秋のリーマン・ショックによる金融危機で、09年の住宅着工件数は08年(109万3519戸)より27.9%少ない78万8410戸と大きく落ち込んだ。80万戸を切ったのは実に45年ぶり。最高を記録した1972年(191万戸)の4割程度となった。その後、少しずつ持ち直してきて、13年は95万戸前後まで回復するだろう。

 この先、住宅市場の活況は持続するのだろうか?

 政府・与党は、消費増税に合わせ、住宅ローン減税の拡充や現金給付といった負担軽減策を用意している。政府の住宅購入支援策がうまくいけば「消費増税後の大幅な反動減は避けられる」と、住宅メーカーは期待している。

 10月初旬にも来春の消費増税が正式に決まれば、駆け込み需要は減り、年内に息切れするとの見方がある。来年以降の反動減は避けられそうもないというわけだ。問題は、駆け込み需要の反動減がどのくらいになるかという点にある。

●前回増税時は2年間で27%も減少

 消費増税は、これまで2回あった。89年4月に3%の消費税率が導入された時は、バブル末期で地価高騰に沸き立っていた時期だ。バブル前の86年の新設住宅着工戸数は136万戸だったが、バブル時代には166~168万戸に急増した。消費税率が引き上げられても、勢いは止まらなかった。税率をはるかに上回る地価の値上がりのスピードに目を奪われたわけだ。

 国土交通省の統計資料によると、90年の住宅着工戸数は170万7109戸と前年より2.7%増で、消費税の影響はなかった。しかし、91年はバブル崩壊と重なり、137万126戸と激減。率にして19.7%、戸数にして33万戸減った。

 消費増税がストレートに住宅着工に影響を与えたのは97年4月。税率が3%から5%へ引き上げられた時だ。96年は駆け込み需要で住宅着工戸数が増え、97年は反動減で、はっきりと落ち込んだ。当時の経過を少し詳細に見てみると、95年の着工戸数は147万330戸だった。消費増税の前年96年に入ると駆け込み需要が発生し、3月から増勢をたどり、10月には年率換算で180万戸のピークをつけた。96年末までに住宅会社と請負契約をすれば、住宅の引き渡しが増税後になっても税率は引き上げ前の3%が適用される経過措置が採られたため、駆け込みに拍車がかかった。

 96年の住宅着工戸数は164万3266戸。前年より11.8%増、戸数で17万戸増えた。97年に入ると反動減に見舞われる。1月から前年同月比で減少に転じ、消費税が3%から5%に引き上げられた97年4月は9.6%減。その後は2ケタのマイナスが続き、97年は138万7014戸にダウンした。率にして15.6%、戸数にして25万戸減った。

 97年末から98年にかけて北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行など金融機関の経営破綻が相次ぎ、金融危機に見舞われた。そのため98年も住宅着工の減少に歯止めがかからず、前年比13.6%減の119万8295戸にまで激減した。わずか2年間に、27%、44万戸も落ちたことになる。

 月次の住宅着工戸数が12年9月から13年7月まで11カ月続けて増加したのは、駆け込み需要が盛り上がった96年3~12月以来だ。次のピークは10月に来る。9月末までに工事契約すれば、消費税率は5%が適用されるからだ。

 14年1月からは、駆け込み需要の反動で、住宅着工戸数はマイナスに転じるとみられている。しかも、消費税率は14年に8%、15年に10%と2年連続で引き上げられる。20~25万戸減少するのは避けられないだろう。20万戸から25万戸減るとすれば、リーマン・ショック直後の09年の水準である70万戸台に落ち込むことを、覚悟しなければならないことになる。
(文=編集部)