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舛添都知事の首都高大規模更新前倒し構想、渋滞や交通混雑の深刻化呼ぶ恐れも

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「Thinkstock」より
 2月12日、舛添要一東京都知事が就任会見で首都高速道路(首都高)の大規模更新に触れ、「8年、10年とかかるというのであれば、努力をして2020年を目標に進めたい。財源を含めて具体的に検討を重ねていきたい」と述べた。東京五輪が開催される20年までに老朽化が進んだ首都高をつくり直すという計画は、前向きな施策に思えるし、反対する声は少ないかもしれない。確かに首都高の老朽化は重要な問題だが、今日明日にも崩れ落ちるという話ではなく、震災対策としての耐震補強工事も一応完了している。

 実はすでに首都高は更新計画を公開しており、10年以内をメドに実施する方針を示している。舛添知事は、それを「6年以内に」と述べたわけだが、早く実施すればよいというものではなく、迂回路がない段階で工事に取りかかり大規模な交通規制を行えば、東京の道路事情が大きく混乱する可能性が高い。

 首都高は、特に老朽化が激しい5カ所を大規模更新、つまり一からつくり直すとしている。そのうち4カ所は、1年後に全通となるC2品川線(大橋-大井ジャンクション<JCT>間)および、2~3年後に全通となる圏央道・東北道-東名間を含めれば迂回路があり、これ以上のネットワークの充実も予定されていないことからも、更新を急ぐことに意味はあるかもしれない。

 しかし、3号線の池尻-三軒茶屋間だけは事情が異なる。3号渋谷線下りの三軒茶屋付近を先頭とした渋滞は、大橋JCTを経てほぼ常時山手トンネル内にまで延びており、すでに首都高最大のボトルネックと化しつつある。1年後にC2品川線が開通すると、この状況はさらに悪化する可能性が高い。

●周辺一般道へ悪影響の可能性も

 加えて、都心部と東名高速を結ぶこの路線には迂回路がない。横羽線・湾岸線で横浜へ向かい保土ヶ谷バイパス経由で東名横浜町田インターへ抜けるというルートはあるものの、すでに保土ヶ谷バイパスは交通容量が逼迫し渋滞が多発しており、これ以上交通量を増やすことは不可能だ。また、迂回路の完成は、外環道東京区間(大泉-世田谷間)と、首都高横浜環状北線・北西線(横浜青葉インター-首都高生麦JCT間)の開通後になるが、この2路線はともに20年に間に合うかどうか微妙だ。

 迂回路が未開通の状況で3号線の大規模更新に着手し、長期にわたって片側1車線の交通規制が入ったら、首都高はここをネックに連日大渋滞となる。周辺の一般道も大混雑になるだろう。この区間の大規模更新だけは、急ぐメリットよりデメリットのほうが大きく、20年以降に着手すべきである。

 また、舛添知事は就任会見で「日本橋上の首都高は負の遺産」との認識を示したが、首都高は世界初の都市高速ネットワークであり、日本橋上空の高架橋は前回(1964年)の東京五輪に向けてつくられた突貫工事の記念碑だ。それを負の遺産とみるのには疑問を感じる。舛添知事は、首都高を世界に誇るべき東京独自の景観であると、逆に海外に向けてPRしてもよいのではないか。

 いずれにせよ、首都高の大規模更新にあたっては、時期の前倒しを急ぐだけではなく、首都圏の道路や交通状況を全体的に鑑みた議論が必要とされている。
(文=清水草一/交通ジャーナリスト)