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自転車事故で9500万円の賠償も~加害・被害両方のリスクに保険で備える

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自転車事故で9500万円の賠償も~加害・被害両方のリスクに保険で備えるの画像1「Thinkstock」より
 幼い頃から利用している自転車。日常生活の一部となっているためか、自転車を運行する責任を理解していないと思われる事例が後を絶たない。2008年、当時小学5年生の男の子が女性に衝突し、意識不明の重体にさせた自転車事故に対して昨年、加害者少年の母親に9500万円の支払いを命じる判決が下されたケースを記憶している人も多いだろう。

 賠償金がこれほど高額になるのは、自転車側に「ルール違反」があったからだ。例えば、スピードを出しすぎたり、携帯電話を操作しながらの運転だったり、信号無視、無灯火などによって事故を引き起こした場合は、高額賠償を命じられる傾向がある。保険に加入していない場合、賠償金支払いの負担に耐えられず、自己破産をするという話も聞く。

 しかし、故意または重大な過失によって加えた、人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償債務は、破産認定を受けても免責されない。「重大な過失」とは、「一般人なら気づいたはずの事情を当事者は気がつかないで違法行為を行ってしまった場合」を指している。例えば、スピード超過や携帯電話を操作中の事故はもちろん、ひき逃げや飲酒運転も「重大な過失」に当たる。

 自分や家族が被害者になってしまう可能性もあるが、反対に加害者になってしまう可能性もある。自動車であれば、少なくとも自賠責保険には加入しているはずだが、自転車の場合は、多くの人が保険に加入しておらず、深刻な事態を招いてしまうことが多いのが現状だ。日本損害保険協会の資料には、多くの事例が掲載されている。とても払いきれる金額ではない。

 日本損害保険協会ウェブサイトより、自転車での加害事故の概要と賠償額を例示してみる。

・男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。賠償額は9266万円。(08年6月5日東京地方裁判所判決)

・男性が夕方、ペットボトルを片手に下り坂をスピードを落とさず走行し交差点に進入、横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。女性は脳挫傷等で3日後に死亡した。賠償額は6779万円。(03年9月30日東京地方裁判所判決)

・男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と衝突。女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。賠償額は5438万円。(07年4月11日東京地方裁判所判決)

・男子高校生が朝、赤信号で交差点の横断歩道を走行中、旋盤工(62歳)の男性が運転するオートバイと衝突。旋盤工は頭蓋内損傷で13日後に死亡した。賠償額は4043万円。(05年9月14日東京地方裁判所判決)

・男子高校生が朝、自転車で歩道から交差点に無理に進入し、女性の保険勧誘員(60歳)が運転する自転車と衝突。保険勧誘員は頭蓋骨骨折を負い9日後に死亡した。賠償額は3138万円。(02年2月15日さいたま地方裁判所判決)

 道路交通法上、自転車は車両の一種(軽車両)に該当するため、事故を起こすと刑事上の責任が問われるのだ。さらに相手にケガを負わせた場合は、民事上の損害賠償責任も発生する。そして、被害者を見舞い、誠実に謝罪する道義的な責任も生じ、慰謝料も請求されれば支払わなければならない可能性がある。

●賠償責任、傷害の両方に備える

 そんな自転車による事故を補償してくれる自転車保険は、自分が加害者になったときはもちろん、自分自身が死傷した場合も補償される。いわば賠償責任保険と傷害保険をセットにした保険だと考えるとよいだろう。

 比較的手ごろに加入できるのは、大手コンビニエンスストアチェーンのセブン-イレブンが販売している保険だ。1人当たり年間4160円で、1億円までの賠償責任に備える「自転車向け保険」は、示談交渉をはじめ、自分の死亡や入院もカバーすることが可能だ。夫婦プランや家族プランも存在する。au損保は、あ・う・て「じてんしゃBycle」を発売。3種類のプランを設定している。最低でも1億円の賠償責任には備えておきたい。ほかにも多くの商品があるので、比較してみるとよいだろう。

 ところで、個人賠償責任保険をご存じだろうか? これは、個人が負った賠償責任を通常、1億円まで支払ってくれる保険だ。自転車事故をはじめ、他人の「身体」や「財物」に損害を与えた場合が対象となっている。

 例を挙げると、

1.買い物中に商品を落とし破損させた
2.飼い犬が他人を噛んで死傷させた
3.子どもが他人の車に傷をつけた
4.自転車で走行中に歩行者とぶつかり、後遺障害を負わせた
5.自宅の風呂場からの水漏れにより、階下の壁や家財に損害を与えてしまった
6.ガス爆発によって、隣の建物を損壊させた 
7.ベランダの鉢植えが落下し、歩行者の頭に当たり死亡させた

といった場合に適用される。

 個人賠償責任保険は、自動車保険や火災保険の特約として加入する商品だ。年間での保険料も数千円と、それほど高額ではなく、同居家族(別居の未婚の子を含む)や犬までも補償される。まずは自動車保険の証券を確認してほしい。保険期間の途中であっても付加することが可能だ。さらに、弁護士費用や示談交渉サービスがついている保険に加入しておくと安心できるだろう。
(文=横川由理/フィナンシャルプランナー)

BusinessJournal編集部

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