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消費者庁、閣議決定を無視して「第2トクホ」新設へ 既得権者に配慮した規制改革潰し

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6月13日、規制改革会議で発言する安倍首相(「首相官邸 HP」より)
 規制改革は安倍政権の重要な経済政策のひとつだが、一部の分野では、昨年提示された規制改革の方向性が大きく後退している。例えば健康食品やサプリメントの機能性表示に関する規制改革において、その傾向が顕著にみられる。いったんは掲げられた規制改革が、現在に至って潰されそうになるまでの流れをみてみよう。

 日本ではこれまで「血圧が気になる方へ」といったような機能性表示は、国から認可を受けた特定保健用食品(トクホ)や栄養機能性食品にのみ許されてきたが、昨年6月14日、政府は健康食品やサプリの表示規制の緩和を実施することを閣議決定した。

 安倍政権がこの規制を緩和させていく狙いには、医療費の削減があるが、実は先進国でサプリや健康食品の定義が法的に明確になっていないのは日本だけである。ドイツでは「アポテイク」と呼ばれる薬局があり、そこでは医師が薬を飲むほどの症状ではないと判断すると、ハーブなどの健康食品を処方することもある。TPP(環太平洋経済連携協定)によって、健康食品やサプリの国際的な流通が増えることも想定されるため、機能性表示について各国間で整合性を取る動きも起きている。例えば、ASEAN(東南アジア諸国連合)は、米国のダイエタリーサプリメント制度を参考にしようとしている。日本もグローバルスタンダードに対応しなければ、世界で後れを取ってしまう可能性がある。

 こうした流れを受けて、機能性表示を担当している消費者庁は昨年12月、「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」を設置。学者や業界、消費者保護団体の関係者らによって新制度の在り方が模索され、世界水準の新しい制度が生まれるかにみえた。ところが同庁は、首相の肝いりプロジェクトだけに官邸向けには見せかけの規制緩和を実施し、実態は改悪に近い制度の設置を画策し始めている。

●厚労省の天下り先に「トクホ利権」

 その概要は健康食品やサプリメントを対象とする「第2トクホ」の新設ともいえるもので、規制緩和どころか、むしろ規制が強化される内容だ。例えば、トクホの開発では人体試験が行われ、開発側にとって都合の良いデータのみを利用できるが、今回の新制度では、医薬品と同様の事前登録制の臨床試験を求め、トクホよりも厳しいチェックをしようとしている。一見、消費者保護のためという大義名分は立つが、消費者庁はトクホを擁護していると見ることができる。

 1991年に始まったトクホは不評で、市場規模も伸び悩んでいる。開発の初期投資に数億円、開発期間は平均で4年を要するため、大企業にしか開発できず、その割に新規性の乏しい植物繊維を混ぜただけの飲料などしか新製品が出てきていないとの批判も多い。また、トクホ関連のビジネスの一部は、厚生労働省の幹部の天下り先である公益財団法人「日本健康・食品栄養協会」の利権になっているとも指摘されている。

 今回の規制緩和を担当している消費者庁の幹部も担当者も、厚生労働省からの出向組である。「厚労省の顔色を見て仕事をしている。薬事法があるので規制改革できないようなことを言っており、背後から厚労省の指示を受けているのではないか」(業界関係者)との指摘もある。一方で「厚労省側は我関知せずの姿勢を貫いている」(同)という。