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スコットランド独立で英国崩壊?英国政府は威嚇、スコットランドポンド消滅の可能性も

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「Thinkstock」より
 今月18日に行われるスコットランド独立を決める国民投票、この結果をめぐって、英国ポンドと世界の金融市場が大きく動いている。世論調査では、独立派、独立反対派が拮抗しており、調査機関によっては独立派が優勢な結果も出ている。この状況を受けて、イギリスの首相をはじめとする重要閣僚がスコットランド入りし、必死の引き留め工作を行っている。

 一般に「イギリス」または「英国」という場合、一つの国として扱っていることが多いが、正式には「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」であり、グレートブリテン島に存在するイングランド、ウェールズ、スコットランドという3つの地域とアイルランド島北部6州の連合体なのである。そのため、英語ではユナイテッド・キングダム(U.K)と表記される。今、英国にとっては、200年以上続くこの体制が崩壊するかもしれない危機にあるのである。

 今でこそ経済、軍事をはじめ、世界の主導権を握っているのは米国であるが、それ以前は200年以上世界の中心であり続けた英国、これは他の大陸国家と違い、グレートブリテン島の3つの地域とアイルランドの一部が一体であり続けたことに起因する。そして、この4地域を合わせた規模(経済、資源、人口)の力が国際社会への影響力でもあるのである。

 そして、短期的問題として、今回の独立騒動で最も注目されているのが、金融と通貨の問題である。スコットランドの通貨は英国ポンドではなく、スコットランドポンドである。スコットランドポンドというのは、イングランドの中央銀行であるイングランド銀行(BOE)が発行し世界で通用する英国ポンドとは違い、スコットランドに本店を置く民間銀行が発行する地域通貨である。いわば、その地域でしか使えない商品券のようなものである。

 このスコットランドポンドが国際的に信用されている理由は、この通貨が英国政府によりイングランドやウェールズでも同価値(1英国ポンド=1スコットランドポンド)で使えると保証されており、イングランド、ウェールズ内の銀行に持ち込めば自由に英国ポンドに両替できるからである(銀行は発行額に応じた英国ポンド資産を保有することが義務付けられている)。

●スコットランド独立が経済に与える影響

 ところが今、スコットランドに独立の気運が高まっている。仮に独立が成立した場合、この保証が将来的に失われる可能性が高い。なぜなら、独立派のスコットランド国民党は、独立が成立しても英国との通貨同盟により今の体制を維持するとしているが、英国議会もBOEもこれを認めない方針だからだ。

 9月11日、BOEのマーク・カーニー総裁が、仮にスコットランドが英国から独立した後も英国ポンドを通貨として使用し続ける場合、経済規模を上回るポンドを準備する必要があると語ったことを受けて、スコットランドポンドを発行するスコットランド銀行(ロイズ)、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)、クライズデール銀行(豪NAB)は、独立派が勝利した場合、本社をスコットランドからイングランドに移すと表明した。これは独立を阻止したいイングランド・ウェールズ側と、通貨の保証関係を失いたくない銀行の利害が一致したからであり、英国政府からの独立派への威嚇と見ることができる。