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安倍首相の父・晋太郎氏、暴力団組長と親密交際 海外入院を斡旋、外務省も協力

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『反転 闇社会の守護神と呼ばれて』(田中森一/幻冬舎)
「闇社会の守護神」と呼ばれていた人物が、ひっそりと息を引き取った――。大阪、東京両地検の元特捜部検事で、巨額詐欺事件で実刑判決を受けた元弁護士の田中森一氏が11月22日、胃がんの治療で入院していた東京都内の病院で死去した。享年71歳。

 田中氏は、長崎県平戸市の貧しい漁師の家に生まれた。県立猶興館高校津吉分校の定時制を卒業後、苦学して岡山大学法学部に進み、在学中に司法試験に合格。1971年、検事に任官した。大阪、東京地検特捜部で活躍し、撚糸工連汚職事件や平和相互銀行不正融資事件、三菱重工業CB(転換社債)事件など数多くの大事件を手掛け、辣腕特捜検事として名をはせた。だが、福岡県苅田町で発生した住民税流用事件で現職代議士を収賄の疑惑で追いつめたが、その段階で捜査から外されたことに腹を立て、87年に検事を退官した。

 バブル全盛期の88年に大阪で弁護士事務所を開設し、経済事件の被告や暴力団関係者の弁護人を務めた。2000年3月、東京の石油卸商社、石橋産業から179億円の手形をだまし取った詐欺事件で、「地下経済のフィクサー」と称された許永中氏らとともに逮捕され、懲役3年の実刑判決を受けた。08年2月の上告棄却を受け、同3月には別の詐欺容疑で再逮捕され、懲役3年が加算された。事件によって08年に弁護士資格を失った。服役中に胃がんの手術を受け、12年11月に仮釈放、13年秋に刑期は満了した。今年2月に胃がんが再発し、療養生活を送っていた。

●政治と裏社会の橋渡し


 保釈されて上告中だった07年6月、自身の半生を綴った『反転 闇社会の守護神と呼ばれて』(幻冬舎)を出版し、ベストセラーになった。検事時代の裏話や、政治家や暴力団との交流を赤裸々に告白した。田中氏は、戦後最大の経済事件、イトマン・住友銀行事件の主役である前出の許氏や伊藤寿永光氏をはじめとして、数多くの「バブル紳士」といわれた怪人物たちと親交があった。親交の幅は政治家にも広がり、安倍晋三首相の父親で当時自民党清和会を率いる派閥の領袖だった安倍晋太郎氏と、暴力団山口組若頭の宅見勝・宅見組組長の橋渡しを田中氏が行った様子も同書には描かれている。全国紙記者は「安倍氏と宅見氏の親交は永田町では有名だった」と明かす。

 92年、山口組のナンバー2、宅見氏がフランスの病院に入院しようとして現地警察に入国を拒否される事件があった。

「『先生、フランスから日帰りしたんは、俺だけとちゃうやろか』射殺された山口組の元若頭、宅見勝組長が生前、よく冗談まじりにこう話していた。(略)実は、宅見組長のフランス逃避行は、あの安倍晋太郎事務所がずいぶん助けてくれたのである」(同書より)