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安倍首相の危険な最終目標 徴兵制復活、上世代に雇用奪われた若年層を戦地へ派兵の懸念

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11月18日、記者会見を行う安倍晋三首相(「首相官邸HP」より)
 衆院選投票日が今週末14日に迫っているが、国民の関心は薄く、報道機関の世論調査でも「関心がある」と答えているのは全体の6割でしかない。年代別でみると、70代以上が最も関心が高く8割に迫る水準だが、20代は4割強でしかなく、実際に投票に行くかどうかとなると世代間の差はさらに広がる可能性が高い。このことは、70代以上の意思が国民の意思になり、若年層の利益と高齢者の利益が相反しても、国政には高齢者の利益しか反映されないことを意味する。

 そんな若年層が投票日までに目を通しておくべきだと考えられるのが、『自民党憲法改正草案にダメ出し食らわす!』(合同出版)である。著者は司法試験予備校伊藤塾の塾長であり、憲法研究をライフワークと位置づけている護憲派の伊藤真弁護士と、改憲論者で「コバセツ」の愛称で知られる小林節慶応義塾大学法学部教授。2人の対談形式になっており、実際に読む部分は137ページしかない薄い本で文字も大きい。内容も平易な上に衝撃的で、決して眠くなるような内容ではない。2~3時間で読めるので、特に20~50代の方にはぜひとも読んでほしい。なぜ20~50代なのか。それは安倍晋三首相という政治家の悲願実現の暁には、最も被害を被る層だからなのだが、詳細は後述する。

 同書は昨年7月に刊行されたもので、自民党がまだ野党だった2012年4月に発表した、同党の、というよりは安倍首相が考えた憲法改正草案を批判した本である。ポイントは、改憲論者の小林氏ですら徹底的に批判しているという点だ。『NEWS 23』(TBS系)キャスターで毎日新聞政治部特別編集委員の岸井成格氏も、テレビ番組でこの改憲案を「あまりにも幼稚な内容で、いくら野党になったからといって、こんな無分別なものをつくるとは、とあきれ、政治部の記者は相手にしなかった。だがそれがいけなかった。即座に徹底的に批判すべきだった」と語っている。

 筆者は経済専門の記者で、社会部系でも政治部系でもなく、人権に関する報道を熱心にやってきたわけでもない。従ってこの憲法改正案の内容をほとんど知らなかったのだが、同書を読んで仰天した。安倍首相は、改憲こそが最終目標であり、集団的自衛権容認は何がなんでも実現したいという悲願を持ち、それが国家にとって最善の道だと信じて疑わない政治家なのだということがわかる。

 強い信念を持って正しいと信じて突き進む政治家ほど怖いものはない。2年間の政権運営で、自分の信念は国民受けが悪いこともすでに承知している。受けがいい経済政策を隠れ蓑にしながら票をかき集めないと、自分の信念は実現できない。自民党総裁選が来年9月では、それまで安倍人気は持たない。だから今なのだ。

●権力者を縛る憲法があってこその立憲主義


 同書で小林氏と伊藤氏の2人ともが一致して批判しているポイントは、憲法96条と99条に関する改正案。両条文に共通するのは、「安倍首相は憲法を憲法とは別のシロモノに変え、立憲主義を捨てたがっている」という点だ。「国民を縛るのは法律。その法律のつくり手である権力者を縛るためのものが憲法」であり、「法の上に憲法があるのが立憲主義」だと記憶している人は少なく、両氏はそれこそが問題であり、日本国民は「立憲主義とは何か」を理解していないと指摘する。