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闘うジャーナリスト・佐々木奎一がゆく! ワーキングクラスの被抑圧者たち 第26回

富士ゼロ子会社、バイト社員に退職強要?嘘をついて呼び出し、自己都合退職を偽装か

文=佐々木奎一/ジャーナリスト
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ハローワークは会社都合での退職と認定

 富士ゼロSSのやり方に納得のいかないF氏は14年12月下旬、日本司法支援センター(法テラス)に相談したところ、産業医面談をすると嘘をついて呼び出したり、その場で退職を促して退職願を書かせたことは違法行為との説明を受け、東京都が運営している相談窓口「労働110番」を紹介された。そこで解雇予告手当や、急な解雇による当面の生活費の保障を求めるよう助言を受け、F氏は富士ゼロSSに書面でこれらを請求したが拒否された。

 そして今年1月8日、労働110番の職員が会社と面談したところ、「退職勧奨は行っていない」とF氏の主張を否定した。1月下旬にF氏のもとに届いた離職票には、自己都合退職と記載されていた。

 F氏は富士ゼロSSに電話をかけて、人事担当者に面談時の意図をただした。人事担当者は、解雇を否定したが、F氏の「退職を断っていたら、今現在も在籍できていたか」との問いに、会社に残る選択肢はなかったことを示唆し、この会話記録をハローワークに提出したところ、会社都合での退職と認められた。

 なお、富士ゼロSSに事実関係を問い合わせたところ、「今回のご質問に対しては、事実関係の有無を含め、ご回答は差し控えさせていただきます」との返答だった。

 それにしても、富士ゼロSSのF氏への対応には不可解な点がある。まず、F氏は昨年12月末が契約更新の時期だった。つまり、会社は契約満了による雇い止めとすれば違法性は低く、今ほど揉めなかった可能性が高い。では、なぜ強引に辞めさせたのだろうか?

 筆者がこれまで取材した富士ゼロ本社の社員解雇時には、例外なく人事担当者は退職願を書かせようとしていた。これは後々、裁判になった時のためとみられる。その習性により、バイトのF氏に対しても正社員の解雇と同じことをやったのではないか。要するに、いつもの調子でF氏にも同じことをしてしまったのだ。また、自己都合退職にこだわったのは、会社都合による退職者を出すと厚生労働省が取り扱う助成金を受けにくくなることも影響している可能性がある。

 今回の事件は、「親が親なら子も子」のことわざが会社にも当てはまることを示しているといえよう。
(文=佐々木奎一/ジャーナリスト)

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