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2023.10.25 20:16
2015.04.12 00:04
出張版・アリエナイ理科「毒のハナシ」
“猛毒”ダイオキシン、人間には毒性がない?なぜ本当に有害な物質の研究が進まない?
そのダイオキシン類の中で最も毒性が強いといわれているのが、「2,3,7,8-テトラクロロジベンゾダイオキシン」です。
モルモット実験から判明した致死量は、0.01mg/kg(体重1kg当たり、0.01mg)。これは成人の致死量が150~300mgといわれる青酸カリ(シアン化カリウム)をはるかに上回る猛毒です。しかし、その後さまざまな動物実験から、イヌの致死量は3mg/kg、ハムスターは5mg/kgなど、種類によって何千倍も差があることがわかり、人間の致死量ははっきりしていませんが、ほとんど毒性がないのではないかとの見方もあります。
また、「急性毒性がなくても、慢性毒性はあるのではないか」との意見もありますが、現在は少数意見にとどまっています。ダイオキシン類は、自然界にも存在しており、過剰にゴミ焼却の際に発生するダイオキシンだけを悪者扱いするのは間違っているのではないか、との意見も多くなっています。
ただし、ゴミを焼却する際に、有害な物質が生成されていることは確かなようで、それが何かを突き止めるための研究は進めるべきでしょう。しかし、「ダイオキシン低減」などのキーワードが入っているほうが研究費を獲得しやすいため、本当に有害な物質よりも、ダイオキシンの研究がさらに進んでしまう皮肉な状況は今後も続くと考えられます。
(文=へるどくたークラレ/サイエンスライター)
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