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片山修「ずたぶくろ経営論」

7万人リストラを乗り越えて…ソニー、経営危機脱出 反転攻勢始動で復活への狼煙

文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家
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 たとえば「wena wrist」を見ると、8月31日に1000万円を目標にクラウドファンディングをスタートしたが、一晩で目標額を達成し、プロジェクトが成立した。10月30日時点で1億673万円以上の資金が集まっている。

 これらの取り組みは、売上高にして数千万円と、ソニーの規模からすればビジネスと呼ぶにはおこがましいほど小粒である。しかし、小さなアイデアでも商品化して世に問うことができるとなれば、技術者のモチベーションは一気に跳ね上がる。小さな種を見捨てず、拾い上げるという企業の姿勢が、社内の活性化につながるのは間違いない。利益最優先ではなく、遊び心や挑戦を奨励する姿勢に、ソニーの内部に生まれつつある余裕を感じることができるのだ。

「ユニークで他社とは一線を画した商品やサービス、事業モデルによって企業価値の向上を目指す。これが、ソニーのあるべき姿です」

 前述の経営方針説明会の席上、平井氏はそう強調した。現在のソニーは、まだ完全に「変わった」とはいいきれない。成長路線に乗ったともいえない。しかし、変化の風が吹き始めていることは間違いない。
(文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家)

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。企業経営論の日本の第一人者。主要月刊誌『中央公論』『文藝春秋』『Voice』『潮』などのほか、『週刊エコノミスト』『SAPIO』『THE21』など多数の雑誌に論文を執筆。経済、経営、政治など幅広いテーマを手掛ける。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)は8万部のベストセラー。著書は60冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。

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