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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

風邪に薬や病院は無意味?隠れた「怖い病気」を見逃して最悪事態の恐れ?

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「Thinkstock」より
 今日は風邪に関して議論が盛り上がっています。“常識君”は、「風邪と思ったら、早くお医者さんに行って抗生物質をもらって、そしてお風呂はやめてマスクをして、温かいものでも食べて早く寝よう」と言っています。


 一方、“極論君”はインターネットを調べたらしく、「風邪はさまざまなウイルスによって起こる、良性で自然に治る病態」と言っています。極論君の意見は、「自然に治るのだから、病院やクリニックに行くのは時間の無駄で馬鹿げている」というものです。

 悩ましいですね。まず風邪の定義は書物や文献で微妙に異なります。基本的には極論君が主張するように、「のど、鼻、咳、熱、下痢、倦怠感などの症状を伴う自然に治るウイルス疾患」といった感じです。問題なのは、自然に治るかは治ってみて初めてわかることで、治る前に自然に治るのか、適切な治療を受けないとどんどんと悪化していくものかが実はわからないことです。

 経験豊富な医師はたくさんの患者さんを診ていますので、全体の雰囲気から自然に治ることが相当期待される「いわゆる風邪」だと診断できます。その直感の裏には、こんな怖い病気が実は隠れていて、この患者さんにはそれらの怖い病気は当てはまらないだろうという推論が必須なのです。

 一方で藪医者は、大多数の「いわゆる風邪」のなかに隠れている重篤な病気を診断できないのです。ほとんどが自然に治る「いわゆる風邪」ですが、まれに本当に怖い病気が隠れていて、それを見逃すと不幸なことが起こります。

遠慮せずに医者の判断を仰ぐ


 では、患者さん自身が判断するためにはどうすればいいのでしょう。基本的に風邪症状のウイルス疾患であれば自然に治ります。ウイルス疾患は体のあちこちに症状を引き起こします。つまり、のどが痛くて、鼻水が出て、咳も止まらないといった複数の訴えがあるときは、通常はウイルス疾患です。のどだけ痛い、頭痛だけがひどい、高熱だけが続くなどはむしろ要注意となります。

 細菌感染には抗生物質が著効(著しく効果があること)しますが、一般の風邪を引き起こすウイルスに効く抗生物質はありません。インフルエンザウイルスや水ぼうそうのウイルスには、抗ウイルス薬が存在します。ですから、常識君が主張しているような「風邪だから早く病院に行って、抗生物質をもらおう」という主張は間違いです。