日本の一部エリアの不動産バブルが続いている。バブル化しているのは東京の都心と城南、湾岸エリア、川崎市の武蔵小杉駅前、京都市の御所周辺など、かなり地域が限定されている。おそらく、日本の国土の1%に満たないエリアだ。だから筆者は「局地バブル」と呼んでいる。
一方、福岡や名古屋の一部地域を除いて、日本の不動産価格は下落し続けている。人口減少が顕著な地域では、それこそ無価値化しているといってよい。日本では人口が減り始めたといっても、まだ1億2000万人以上が住んでおり、最盛期から1割も減っていない。にもかかわらず、日本国土の98%で住宅を中心とした不動産は値下がりが続いているのだ。
その原因のひとつは、間違いなく住宅のつくり過ぎである。都市部、郊外、地方を問わず、日本全体で新築住宅をつくり過ぎたことで、完全に余っている。
ところが、東京や京都の一部ではなぜ局地的なマンションバブルが起きているのか。
それらは、いずれも本来の「住む」という目的のため以外の需要が発生しているからだ。まず、京都の御所エリアでここ数年見られた激しいマンション価格の上昇は、そのかなりの部分がセカンドハウス需要だと思われる。筆者のところにも、「京都でマンションを買いたいのですが」という相談が寄せられるが、8割以上がセカンドハウス用だ。
2015年の初めに完売した「プラウド京都麩屋町御池」という43戸の高級マンションがあった。いわゆる「御所バブル」の中心地にできたマンションである。短期間で完売した後に売主企業が発表した購入者の居住地は、「京都府 26.7%、東京都 23.3%、大阪府 14.0% 」というものだった。つまり、地元からの購入が4分の1程度。セカンドハウス需要が大半だということだ。
前述した東京の都心を中心としたエリアでは14年の終わりから15年いっぱい、バブル価格となった新築マンションが飛ぶように売れた。その売れ行きは、あの平成バブルの熱狂を思い出させる。しかし、こちらも「住む」ための需要は半分程度かと推測する。残り半分は、京都のようなセカンドハウスではなく投資と投機。
賃貸で運用してインカムゲインを狙う投資目的と、短期での値上がりを狙う投機。この2つの需要で買われたのである。新築マンションを、まるで株や債券のような感覚で購入する人々がいるのだ。