北朝鮮元総書記の故・金正日の専属料理人として知られる藤本健二氏が4月23日午後、中国・北京空港で目撃された。北朝鮮・高麗航空に搭乗し、平壌から戻ってきたところだったという。
藤本氏は、2001年まで金正日氏の専属料理人として平壌で働き、同氏をはじめとする北朝鮮のロイヤルファミリーを間近で見てきた。そして、12年の7〜8月には、同氏の三男で現第一書記・金正恩氏の招待で訪朝し、金正恩夫妻と旧交を温めたことで話題となった人物である。そんな藤本氏が、北朝鮮の最大行事である朝鮮労働党大会を前に極秘訪朝した背景は一体なんなのか――。公安情報筋はこう話す。
「藤本氏には、平壌に残してきた家族がいます。今回はその家族に会いに行ったとみられています。藤本氏はいまだに金正恩氏に通じる独自のパイプを持っており、それを通じて同氏に『家族に会わせてください』と願い入れたと聞いています」
藤本氏は12年の訪朝後、メディアに対して金正恩氏と一緒に写った写真や会談の内容を公表するなどしたため、「北朝鮮が激怒し、暗殺されてもおかしくない状況」(同)に置かれているといわれてきた。そんな藤本氏が、なぜ再び訪朝することができたのだろうか。
「金正恩氏は、藤本氏をとても気に入っています。御曹司として腫れ物に触れるような扱いしかされてこなかった金正恩氏に対して、唯一親しく接していたのが藤本氏でした。2人は親子ほど年齢が離れていますが、金正恩氏にとってはたった一人の友達という存在です。今回も金正恩氏の家族に寿司を握ったりしたのではないでしょうか」(同)
高額な謝礼をふっかけ
藤本氏を知るテレビ局関係者によれば、同氏は週明けにも帰国する見通しだという。
「藤本氏は前回訪朝から帰国した時、金正恩氏との記念写真は1枚10万円、テレビの出演料は数十万円と、かなり高額な謝礼をふっかけて、メディア関係者に悪印象を残しました。そのため、訪朝ネタが枯れた後には、どの局も彼を北朝鮮問題のコメンテーターとして使わなかったのです。
しかし、ミサイルの発射実験が頻発するなど、北朝鮮との緊張関係が強まっている時期ですし、藤本氏が訪朝したとなれば金正恩氏と会った可能性が高いので、各社とも取材しないわけにはいきません。帰国後には、藤本氏に出演交渉が殺到するでしょう」
5月には36年ぶりに行われる北朝鮮の党大会をひかえており、日に日に過熱する北朝鮮報道。これでまた、しばらくは藤本氏が持ち帰った北朝鮮ロイヤルファミリーの話題で持ちきりになるのだろうか。
(文=編集部)