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牛ひき肉に豚の心臓混合も…食品工場の闇、消費者の命を脅かす危険すぎる行為はなぜ蔓延

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「Thinkstock」より

 自動車、時計、携帯電話、パソコンなどは、どのメーカーの製品を所有しているかに、多少なりとも所有者の人格が表れる場合があります。そのため、自分が所有している自動車が、実は燃費を偽装していたとの報道を聞いた場合、そのメーカーを「許せない」と憤る方も多いことでしょう。

 1月には廃棄カツの転売事件が世間を騒がせました。カツを捨てるときに、商品として販売できない状態にしてから廃棄すれば起きなかった事件です。

 2014年に冷凍食品への農薬混入事件がありましたが、これも07年に中国で発生した餃子への農薬混入事件を「他山の石」としていれば防げた事件です。

『図解 食品工場の基本とリスク管理』(河岸宏和/日本能率協会マネジメントセンター)
 どの事件や事故も、後から考えると想定できる事象ばかりだと思われます。例えば、乾燥する冬は放火されないように家の周りの燃えやすい物を片付けておく、コンビニエンスストアのレジの中には強盗が来ても被害を最小限に抑えられるように一万円札は小まめに金庫へ保管するなど、「事件・事故が起きるはずない」という考え方でなく、「不慮の事故が起きるかもしれない」という考えのもと、対応策を考えるのが組織の責任者の仕事のはずです。

「組織の倫理観は、その組織の責任者の倫理観を超えることはない」――。これは筆者が講演、セミナーなどで必ず話す言葉です。

 07年に発覚した北海道の偽装挽肉事件、前述の廃棄カツ転売事件、これらは双方とも組織の責任者自らが進んで違法行為を行っていました。企業経営を行う責任者には、コンプライアンス(法令遵守)だけでなく、インテグリティー(integrity:誠実、真摯、高潔)が求められます。すなわち、総合的には高貴な人間性といえます。

 廃棄カツを転売すること、牛肉の挽肉に豚の心臓を混ぜることなどは、法律に触れるかどうかという以前に、それを口にするお客様の健康を真摯に考えればできることではありません。

 食品工場は、毎年売り上げを伸ばし続け、利益を増やす必要があります。とはいえ、利益を伸ばすために人間性を失って仕事をしてもいいということにはなりません。組織の責任者が、人間性を持って工場運営を行っていれば、自然に利益が上がり地域住民や従業員からも信頼を得ることができるはずです。

 工場がうまく運営されているかどうかは、売り上げや利益という数字に表れます。つまり、損益計算書に表れる数字が工場長の評価になります。ほかに働く方が安心して働いているかどうかを表す数字としては、労災の発生件数、離職率、平均賃金などがあります。