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米国、日本を監視対象国に…「深刻な事態」なのか、経済政策の監視を強化

文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授
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 今、アメリカは大統領候補者選びで大盛り上がりのなか、不動産王のドナルド・トランプ氏が米大統領選の共和党候補者になることが確実になった。トランプ氏といえば、中国の為替操作による人民元安が対米輸出を支えて、それがアメリカ人の雇用を奪っているという話をするのが、演説での定番になっている。

 一方、民主党の現オバマ政権下でも為替監視の傾向は強まっている。2月24日に成立した米国貿易円滑化・権利行使法に基づき、米財務省の半期為替報告書では今回4月29日に発表されたものから、外国政府による為替政策に対する監視が強化された。その結果、日本は中国、ドイツ、韓国、台湾とともに「監視国」とされた。

 同報告書の根拠とされている米国貿易円滑化・権利行使法は、TPP(環太平洋経済連携協定)に先行して制定された法律であり、オバマ政権が推進するTPPの前提条件と示唆されていたものである。その意味で、TPPにアメリカが参加するかどうかは次期大統領の判断になる可能性があるので、同法がどこまで実施されるのか不透明なところもある。

 ただし、形式的にはTPPと別物とされているので、TPPの帰趨如何にかかわらず、同報告書は今後のアメリカの対外的な為替監視の基本になるものだ。トランプ氏と民主党候補者であるヒラリー・クリントン氏のどちらが大統領になっても、今後数年アメリカの他国の為替に対する姿勢は同報告書がベースになるだろう。

 同報告書では、(1)対米貿易黒字、(2)経常収支、(3)持続的かつ一方方向への為替介入、という3つの基準で監視すべきかどうかを判断している。具体的には、(1)200億ドル以上、(2)GDP比3%以上、(3)年間ネット外為売買対GDP比2%以上かつ持続的介入としている。

 この3条件を満たす国はないが、(1)と(2)を満たす国として、中国、ドイツ、日本、韓国、(2)と(3)を満たす国として台湾が監視国とされた。各国の3条件に関する具体的な数字は、報告書中の表に示されている(下表参照)。

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 上記の監視5カ国のほかに、メキシコ、イタリア、インド、フランス、カナダ、イギリス、ブラジルの記載があり、ユーロはメモ書きとしてでている。このうち、メキシコ、イタリア、インドは(1)のみを満たし、その他の条件は満たしていない。フランス、カナダ、イギリス、ブラジルはどれも満たしていない。

 興味深いのは、メモ書きされているユーロだ。(1)と(2)を満たしているが、監視国にはなっていない。ユーロの代わりにドイツが指定されているような感じだ。

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