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舘内端「クルマの危機と未来」

車の燃費、とんでもなく良くor悪くする運転方法…「本当の燃費」など存在しない

文=舘内端/自動車評論家、日本EVクラブ代表
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車の燃費、とんでもなく良くor悪くする運転方法…「本当の燃費」など存在しないの画像1スズキ・鈴木修会長(つのだよしお/アフロ)

加速すると燃費はリッター3キロ

 自動車の加速性能の指標として、スタートから時速100キロメートルに達するまでに要する時間を使うことがある。高速道路への流入のしやすさの目安にならないこともないが、性能の高さを自慢するアイテムだ。

 4月以降、三菱自動車工業スズキの燃費データ不正問題が世間を揺るがしているが、これほど燃費に関心が集まる時代に、加速した時の燃費となるとあまり話題にならないのは、なぜだろうか。もっとも燃費が悪化するのは加速の時だというのに。

 排気量が3リッターでターボチャージャーが付いたGTで車重が1.6トンほどとなると、スタートから時速100キロメートル(ゼロ100加速)まで加速するのに必要な時間は、5秒ほどである。70メートルほど走ると、時速100キロメートルに達していることになる。ものすごく速い。

 では、こうしたものすごい加速をした時の燃費はというと、およそリッター3キロメートルほどだ。あるいはクルマによってはもっと悪いかもしれない。加速を楽しむには、ガソリン代もかかるし、排出する二酸化炭素(CO2)も多く、地球温暖化も促進してしまうことを知ろう。

 一方、時速50キロメートルで一定して走るときの燃費は、リッター130キロメートルほどだ。信じられないかもしれないが、一定のスピードでしかも市街地の法定速度で走ると、とんでもなく燃費は良いものである(いずれも簡単な計算で求めた数値なので、およその値)。

高速道路では空気抵抗が燃費を左右する

 
 このように自動車の燃費は加速の時と一定速で走る時で大きく変わるのだが、考えてみれば、車庫から目的地へ行き、帰るまで、自動車は発進、加速、一定速度で走行、減速、停止、発進、加速を何度も繰り返す。加速の頻度が高くなるほどに燃費は悪化する。つまり、幹線道路よりも信号の多い市街地のほうが、圧倒的に燃費は悪くなる。

 では、信号のない高速道路での燃費は良いかというと、ボディの形が燃費を大きく左右する。空気抵抗という走行を妨げる抵抗力が速度の2乗で大きくなるからだ。たとえば時速100キロメートル時の空気抵抗は、時速50キロメートル時の2倍ではなく4倍になる。

 一定の速度で走行する自動車には、それを押しとどめようと抵抗する力が働く。空気抵抗ところがり抵抗の2つである。ころがり抵抗は主にタイヤで発生する。ころがり抵抗が小さい省エネタイヤ、エコタイヤを履けば燃費を向上させられる。

舘内端/自動車評論家

舘内端/自動車評論家

1947年、群馬県に生まれ、日本大学理工学部卒業。東大宇宙航空研究所勤務の後、レーシングカーの設計に携わる。
現在は、テクノロジーと文化の両面から車を論じることができる自動車評論家として活躍。「ビジネスジャーナル(web)」等、連載多数。
94年に市民団体の日本EVクラブを設立。エコカーの普及を図る。その活動に対して、98年に環境大臣から表彰を受ける。
2009年にミラEV(日本EVクラブ製作)で東京〜大阪555.6kmを途中無充電で走行。電気自動車1充電航続距離世界最長記録を達成した(ギネス世界記録認定)。
10年5月、ミラEVにて1充電航続距離1003.184kmを走行(テストコース)、世界記録を更新した(ギネス世界記録認定)。
EVに25年関わった経験を持つ唯一人の自動車評論家。著書は、「トヨタの危機」宝島社、「すべての自動車人へ」双葉社、「800馬力のエコロジー」ソニー・マガジンズ など。
23年度から山形の「電動モビリティシステム専門職大学」(新設予定)の准教授として就任予定。
日本EVクラブ

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