8月に五輪が開催されるリオデジャネイロで今、大きな問題となっているのが、蚊が媒介する感染症、ジカウイルスである。感染すると、発熱、発疹、関節痛・関節炎、結膜充血などの症状が現れる。これをジカ熱という。健康な成人が感染しても死に至ることはまれだが、妊婦が感染すると胎児に影響が現れ、小頭症を起こすことがある。ブラジルでは、すでに胎児の小頭症が多発している。
ジカ熱をはじめ、日本でも流行し話題になったデング熱も、蚊が媒介する感染症である。蚊に刺されないように虫よけ剤を利用する方法があるが、蚊そのものを殺してくれるわけではないし、人間にまったく害がないというわけでもない。そこで、蚊を発生させないように水たまりに殺虫剤をまいたりしているが、これも万全ではない。
蚊をなんとか撲滅できないものだろうか。衛生状態が良い日本でも、残念ながら蚊をすべて撲滅させることは難しい。
そんなことを考えていたとき、金属の銅の研究者に出会った。さまざまなウイルスの運び屋になるヒトスジシマカの幼虫(ボウフラ)を、25匹ずつ水を張ったガラス瓶と銅製の容器で飼育したところ、ガラス製の瓶では9割の幼虫が羽化して蚊になったのに対し、銅製の容器ではボウフラは羽化せずにすべて死滅した。蚊にならなかったのである。
蚊がよく発生する場所として意外なところがある。それが墓地。墓前に供える花立てには、当然水が入っている。雨水もたまる可能性があり、ボウフラが発生するには最適な環境である。
そこで、花立てを銅製のものに変えたり、既存の花立ての中に10円玉ぐらいの銅片を入れておけば、蚊の発生は防ぐことができる。お盆でお墓参りをしたときに、花立てに銅片を入れてみよう。蚊の発生を防ぐことができるはず。お墓参りで蚊に刺されることもなくなるだろう。
ちなみに10円玉は銅製なので、靴の中に入れておくと細菌の発生が予防でき、靴が臭くなることがない。10円玉がもったいないなら、銅片でいいだろう。
銅には、細菌の除菌効果があることはよく知られていたが、ウイルスの不活化に有効だという。
インフルエンザウイルスを銅板に触れさせたところ、1時間後に75%、6時間後に99.975%が死滅したという。ウイルスにも効果があるようだ。