骨粗鬆症や便秘の予防・改善など多くの効用を持つ食品といえば、ヨーグルトが代表にあげられるのではないでしょうか。ヨーグルトに含まれる主な栄養素は、たんぱく質、脂質、カルシウム、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンEなどがあります。
ヨーグルトは、乳酸菌の働きにより、たんぱく質、脂質がすでに分解されている状態にあるため、体内での吸収率が同じ乳製品の牛乳にくらべて高いという特徴があります。この乳酸菌は、栄養素の分解をする働きのほかに、腸内の細菌バランスを良好に整える働きがあることは周知の事実でもあり、毎日ヨーグルトを食べている方も多いでしょう。
人の腸には、1000兆個以上の細菌がいます。ビフィズス菌、KW乳酸菌、LG21乳酸菌、ラブレ菌、エクオール産生菌のようなカラダに良い働きをする乳酸菌で、いわゆる善玉菌とよばれるものや、増えると有害な作用を及ぼす悪玉菌といわれるものがあります。腸内の乳酸菌の善玉菌や悪玉菌のバランスは、年齢、食事の内容、体調などによって変化します。
また、腸内環境のバランスの変化によって、体にさまざまな影響をおよぼすことがわかっています。
そればかりではありません。女性の場合は、個人の健康ばかりではなく出産した子どもの健康にまで影響を及ぼすことが明らかになってきました。
福井大学子どものこころの発達研究センターの栃谷史郎特命助教は、研究結果に基づき次のような見解を示しています。
「腸内細菌は母から子へ伝わり、母の精神状態にも、子の脳発達にも影響を与える因子となると考え、妊娠期の母体腸内細菌を抗生剤で減らし、子どもの脳の発達にどのような影響が出るかを動物実験(マウス)で行ったところ、マウスの仔が低活動や壁沿いを好んで移動するなどの変わった行動を取ることがわかりました。このことから、周産期の母親の腸内環境を健康に維持すると、子の健康な脳発達に寄与すること(逆に言えば、神経発達障害などのリスクを軽減できること)を示唆できます」
腸と脳は自律神経でつながっています。そのため、腸内バランスの影響が脳に及ぶのは、容易に想像ができるでしょう。
さらに、腸内細菌のバランスが良好に保てれば、便秘の改善などの腸の健康維持をはじめ、ビタミンK、葉酸、ビオチン、アミノ酸などの生成、免疫力の活性化、血中コレステロールの低下作用、アレルギー発症の緩和などが期待できることがわかっています。