炭水化物や肉「抜き」ダイエットは体重落ちない!かえって痩せにくく、一部分のみ痩せるは間違い!
肥満は生活習慣病の元といわれ、多くの医師は食事制限による減量を勧める。だが、必ずしも太っている人に対して食事制限は有効ではない。
肥満患者が食事制限によるダイエットをしても、体重が減る人と減らない人がいる。これは、肥満遺伝子の有無が関わっている。
一般的に体脂肪は、血糖値を下げれば減ることが多い。体内の血糖値が低くなると、脂肪細胞が血糖値を安定させるためにホルモンを分泌する。そのホルモンが脂肪細胞を活性化し、脂肪がエネルギーとして燃焼される。
だが、肥満遺伝子があると脂肪細胞は脂肪を溜め込み、なかなか燃焼できない。さらに、脂肪細胞は、ある程度の脂肪を溜め込むと増殖して新たに脂肪を溜め込む。そうして脂肪を溜め込んだ細胞が増えていき、肥満となる。こうなると、いくら血糖値を下げても脂肪が減らないのだ。
それどころか食事制限は、一時的に痩せることはあっても、体を壊したりリバウンドしやすい体質になりかねない。バランスの悪い食事で栄養が偏ったり、筋肉が痩せて基礎代謝が落ちてしまうためだ。肥満遺伝子がない人でも、へたな食事制限は同様の危険がある。
たとえば、特定の栄養素が不足していると、脳は栄養が不足していると判断し、体内にエネルギーを蓄積しようとする。そのため、脂肪を溜め込もうとする体質になってしまう。特に、糖質、ビタミン、ミネラルが不足しやすい。
最近は糖質制限ダイエットの流行によって、糖質・炭水化物を一切取らないダイエットをする人が多いが、体にとって必須栄養素の糖質が不足すれば、脳は飢餓状態だと勘違いしてしまう。また、肉を食べなければ、タンパク質に多く含まれるビタミンBが不足しやすく、代謝が落ちて痩せにくくなる。
痩せるためには運動が不可欠
摂取カロリーばかりをきにするのではなく、バランスのよい食事をして軽い運動をしていれば、体重は必ず落とせる。
体重を落としたければ、運動が不可欠なのだ。運動を伴わないダイエットは危険極まりない。ただし、気をつけなければならないのは、激しい運動はデメリットが多く、特に普段から運動をしていない人はやるべきではない。ダイエットは、長いスパンで軽い運動を気長に続けるしかない。
脂肪を燃焼させるためには、有酸素運動を20分以上継続しなければならないといわれてきたが、昨今、有酸素運動で消費されるエネルギーは体脂肪よりも血液中の糖が優先的に消費されることがわかってきた。ただ、短時間では消費量が少ないため、少なくとも20分以上行わないと、成果を感じにくい。それも、20分継続しなくても、1日のうちで合計20分でもよい。たとえば、通勤の行き帰りに、それぞれ10分ずつ早歩きする程度でも脂肪燃焼の効果は得られる。
また、痩せやすい体質にするためには、筋肉量を増やすことが最も効果的だ。なにも、ムキムキの筋肉を身につける必要はない。ただ、今よりも少し筋肉を増やせば、脂肪燃焼効果が上がるのだ。
多くの人は、おなか周りの脂肪を気にして、腹筋運動をする。おなかに巻いて電気刺激を与えるベルトも爆発的に売れている。だが、脂肪は体の一部分だけで燃焼することはあり得ない。「おなかだけ痩せる」「二の腕だけ痩せる」という考えは間違っている。それは、おなかと二の腕の筋肉を鍛えているだけで、脂肪燃焼という観点では非常に効率が悪い。なぜなら、腕やおなかの筋肉は非常に小さいからだ。
おすすめは、お尻の筋肉を鍛えることだ。お尻の筋肉は体のなかで最も大きく、すなわちお尻を鍛えると脂肪燃焼効果が最も高い。踏み台などを10回ほど上り下りするだけで、腹筋運動を100回行うよりも高い効果が得られる。駅などで、エスカレーターやエレベーターを使わず、階段を使えば十分なトレーニングとなる。
そもそも、ダイエットの必要のない人がダイエットをする傾向にも問題がある。すでに健康に影響を及ぼすほどの肥満であれば痩せたほういいが、そうでもないのに、特に若い女性はやたらとダイエットをしたがる。
国際的に用いられる肥満度の指標として、BMI(ボディ・マス・インデックス)がある。体重(kg)を身長(m)の2乗で割った数値で、男性22、女性21のときが最も病気にかかりにくく、25以上は肥満と定義されている。
1987~89年に生命保険に加入した300万人を対象として体格と死亡率の関係を調べたところ、40代以上で最も死亡率が低かったのは男性で24.45、女性で22.8だった。つまり、「やや太り気味」のほうが健康だといえる。
月並みな結論だが、自分の適性体重を把握した上で、バランスのよい食事と適度な運動が健康維持には不可欠なのだ。