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ルディー和子「マーケティングの深層と真相」

「使い勝手悪い」楽天、アマゾンとの戦いを放棄か…ポイント大盤振る舞い戦術の限界

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楽天本社ビル「楽天クリムゾンハウス」(「Wikipedia」より/掬茶)

 楽天市場の売り上げ鈍化が指摘されている。

 楽天の2015年12月期国内EC(電子商取引)流通総額は、前年同期比10%増にとどまった。このEC流通総額の中には、楽天トラベルなどほかのインターネットサービスの数字も入っている。一時は20%の成長率を誇った楽天市場だからこそ、昨年度から楽天市場の単独業績を表示しなくなったのは、伸びが鈍化しているからではないかと指摘する向きもある。

 日経MJは「関係者によると、単独では横ばいに近い数%の低成長にとどまる」と報道している。

 利用者数で楽天を抜いたといわれるアマゾンに比べると、サイトの使い勝手が悪いうえに配送日数も長い。日経MJの調査では、「楽天とアマゾンのどちらが好きか?」との質問に対して約6割が「アマゾンのほうが好き」と答えている。

 筆者自身も、アマゾンのサイトでイライラすることはほとんどないが、楽天を使っているときはイラついて途中でやめてしまうことがある。そういったこともあって、楽天はモノを販売することに関して「アマゾンと勝負する気はもうないのではないか」と思わされる。

 13年の段階では物流センターを全国に8拠点つくる予定だったが、14年には白紙化している。物流センターの構築を途中であきらめた時点で、アマゾンと同じ土俵で戦うという選択を放棄したといえる。つまり、配送料無料、当日あるいは翌日配送といったサービスで戦うことはしないと決めたと推測できる。

 アマゾンと同じ土俵で戦わないと決めたとしたら、これは正しい選択だろう。アマゾンは創業以来20年間利益を出さなくても株価を高値で維持することで存続でき、最近になってやっと数%の営業利益が出せただけで投資家に大喜びされている。そんな会社に勝てるような会社は、世界中を探しても存在しないだろう。

 楽天は、モノを売ることでアマゾンと直接対決するのを避け、楽天トラベルのようなサービス、そして特に金融サービスに力を入れることで、会社の成長に拍車をかけるつもりなのだろう。

「楽天経済圏」と呼称しているように、楽天は楽天市場で獲得した顧客基盤をもとに、利益率の高い金融事業(フィンテック事業)に力を入れている。実際、15年12月期の決算をみると、総売上高7135億円、そのうちEC事業の売上高は2845億円で前期比7%増、金融事業は2751億円で前期比16.3%増。金融事業は総売上高の39%を占めるまでになっている。