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電車遅延で車掌が乗客から暴言受けホームへ逃亡…近鉄、厳しい処分は極めて困難である

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近畿日本鉄道の車両(「Wikipedia」より/Kansai explorer)

 9月21日、近畿日本鉄道(近鉄)奈良線・東花園駅(大阪府東大阪市)で起きた「車掌の転落事件」は、新聞やテレビのワイドショーでも取り上げられ話題となっている。

 報道によると、別の駅で人身事故が発生したことで、東花園駅への電車の到着が遅れた。電車を待つ乗客への対応をしていた26歳の車掌男性が、突然ホームから線路に降り、制服の上着と制帽を脱ぎ捨て、高架橋から7.6m下の地面に飛び降りて負傷する事件が発生したという。

 車掌が数人の乗客に囲まれ、暴言を浴びせられていたとの証言もある。そのため、車掌に同情する声が多く、インターネット上では近鉄に対して車掌の処分をいったん白紙にすることを求める署名活動が行われている。

 近鉄の秘書広報部はメディアの取材に対し、「まずは車掌本人から当時の状況を聞く必要があるが、現段階で面談による状況把握はできておらず、今後のスケジュールも未定」としている。

 近鉄が車掌をどのように処分するのかに世間の視線が集まっている。そこで、人事労務の専門家、社会保険労務士として25年のキャリアを持つ、埼玉労災一人親方部会理事長の中村紳一氏に、今回のような場合の「処分」をテーマに話を聞いた。

「何よりも、車掌の健康面の確認をすることが最優先だ。報道にあった、制服の上着を脱ぎ捨てホームから線路に侵入、高架から飛び降りて負傷したという行動が事実ならば、病院で医師などにメンタル面も確認してもらう必要がある。前からストレスなどが蓄積し、精神的に支障を来していたとも考えられる」(中村氏)

 中村氏が注視するのは、近鉄の社員に対する労務管理や危機管理などだ。

「報道内容が事実ならば、結果としてホームにいた乗客だけでなく、ほかの駅や電車に乗っていた客らにもなんらかの迷惑や被害をかけた可能性がある。その数は、少なくはないと思う。乗客の命を預かる会社としては、この車掌になんらかの処分をすることは、ある意味では当然かもしれない。

 しかし、会社として就業規則に則って厳しい処分をするならば、まずは再確認すべきことがある。それが不十分な状態で厳しい処分をすることはできないだろう」(同)