今年は9月19日が敬老の日だった。かつては9月15日と決まっていたが、祝日法改正(いわゆるハッピーマンデー制度)に伴い、2003年から9月の第3月曜日になった。その敬老の日に合わせて総務省が「統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)」の報告書を取りまとめて公表した。
概要は次の通りだ。
(1)高齢者の人口
高齢者人口は3461万人で、総人口の27.3%と過去最高(9月15日現在の推計)。女性は1962万人で30.1%と、初めて30%を超えた。国際的に見て主要国で最高(米国は15.2%)である。
(2)高齢者の人口移動
15年の高齢者の転出超過数を都道府県別に調べたものでは、東京都が5423人と最も多く、次いで大阪府の1101人など、24都道府県で転出超過となっている。転入超過は埼玉県が2056人で最多。次いで千葉県、神奈川県など23府県で転入のほうが多かった。ちなみに、なぜこうした結果になったかの分析はない。
(3)高齢者の就業
高齢者の就業者数は12年連続で増加し、730万人と過去最高。就業者総数に占める割合は11.4%と、こちらも過去最高。高齢被雇用者の7割超は非正規の職員・従業員で、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が働く理由で最も多かった。
(4)高齢者の暮らし
ICT(情報通信技術)を活用する高齢者が増加。健康に気を配り、趣味を楽しむ高齢者というイメージだ。
(5)高齢者の家計
高齢者世帯の貯蓄現在高は1世帯当たり2430万円。インターネットショッピングの利用が10年間で3.6倍になった。交際費、保健医療の支出割合が高い。
貯蓄額は2430万円、730万人が就業中
気になる項目を検証してみよう。
まず、高齢者の就業状況である。高齢就業者は730万人。就業率は米国の18.2%を上回り21.7%と主要国でトップ。フランス(2.6%)の8倍以上となっている。経営者や役員を除く被雇用者は360万人で、そのうちの74%、267万人がパート・アルバイトや派遣など非正規の職員・従業員だ。
この267万人は、自身の雇用形態について次のように答えている。
(1)自分の都合のよい時間に働きたいから…31.7%
(2)家計の補助・学費を得たいから…20.1%
(3)専門的な技能等を生かせるから…14.9%
(4)正規の職員・従業員の仕事がないから…8.8%
「家計の補助」という回答は2割にすぎないが、「自分の都合のよい時間に働きたい」と回答した人のなかにも、副次的には「家計の補助」という理由が含まれている可能性がある。
次に、高齢者の暮らしぶりはどうだろうか。
まず、「ICTを活用する高齢者が増加」との記載がある。ICTは総務省の重点政策でもある。この報告書では、5年前と比べICTを活用する高齢者が増えていると指摘している。