「仕事をやめた後も安定した収入を得るため」「本業以外の収入を持ちたいから」「相続税対策として」など、不動産投資をやってみようか迷っている人は少なくないはず。
しかし、現在、東京の商業地は過去に例を見ないほど地価が高まっており、2016年の最高公示地価は平成3年のバブル景気を上回っている。ただバブルと違うのは、これは東京だけで起きている現象であり、地方の主要都市ではそれほど上がっていないということだ。
いずれバブルははじける。それはこれまでの歴史が証明してきた通りである。
『不動産バブル崩壊! その時こそがチャンス!! 5%の“勝ち組”投資術』(福田郁雄著、集英社刊)はそんな「予言」から始まり、そのような状況の中で、不動産投資でしっかりと収益をあげていくにはどうしたらいいか、著者独自の理論を用いて説明する。
今、注目を集める「タワマン投資」に懐疑の目
福田氏は「不動産バブルがはじけたとき」が絶好の「買い」のタイミングだと述べる。とはいえ、どんな収益不動産でも買っていいわけではない。例えば近年、注目を集めるタワーマンション(タワマン)投資には懐疑の目を向けている。
金融資産としてタワマンを購入し、相続税を大幅に引き下げるという節税対策にもなるため、資産家や富裕層だけでなく、高齢者からも人気だという。
都心部のタワマンは、上層階の住戸を1億円で購入しても、相続税対策評価では2000万円から3000万円程度に収まるといわれ、さらに賃貸でも借り手が多い人気物件になる上に、将来の値下がりも少なく売却しやすいと、投資商品として高く評価されてきた。
しかし、福田氏はそうした考えに警鐘をならす。国に、行き過ぎた節税に待ったをかけようとする動きが見られるというからだ。
2015年11月には、国税庁がタワマン購入による「行き過ぎた節税策」が行われていないかチェックするよう国税局に指示を出し、総務省もタワマンをはじめとした高層マンションを使った相続税の節税を防止するための検討を始めたという。
もう一つ、福田氏が気にしているのが「大地震」だ。多くの人が知っているように、大地震は周期的に発生し、相模トラフや南海トラフ沿いの巨大地震はかねてから発生の可能性を指摘されている。それが起きたとき、東京湾沿岸の特に地盤が弱い地域に建つタワマンの中には、地震の影響を受ける物件があるのではないかと懸念している。
「今、タワマンが節税で良いらしいから」「東京オリンピックが開催されるから」と何も考えずに購入してしまうと、後々に「こんな話じゃなかったのに」ということも考えられるのだ。
では、「優良物件」とはどんな物件なのか?
福田氏は資産設計に適した「優良物件」はそれほど多くないと述べる。市場にほとんど出てこず、出てきても100件に2~3件程度。確かに「優良物件」をそう簡単に手放す人はいないだろうし、新しく出来てもすぐに売れ切れるはずだ。
では、どうすればいいのか。福田氏は「リーマンショック後のように市場全体が低迷すると、比較的見つけやすくなります」と狙い目を読者に教える。また、現在のような「不動産バブルが天井に達して崩壊間近」という時でも、探せば見つかるのだそうだ。
本書では「優良な収益不動産の手に入れ方」や「不動産で行う本当の節税のやり方」についても触れられている。
地域の選び方、新築は良いのか悪いのか、どのように資金を作るか、どのように「経営」するか…。それらのヒントは、これから不動産投資をはじめようとしている人にとって大いに参考になるだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。