コンビニエンスストアにとって、おでんと並んで冬のレジ横商品の主力である中華まん。なかでも不動の人気を誇る定番商品が「肉まん」である。
フワフワの生地と餡の絶妙なバランス、120円前後の安さといい、一見よくできた商品に思える肉まんだが、各コンビニの公式ホームページには特定原材料や栄養成分などが明示されているものの、店頭では表示されていない。そのため、どんな材料でつくられているのかをよく知らずに買っている人も多いだろう。
そして、コンビニで食べ物を購入する際に気になるのが「食品添加物」だ。コンビニの肉まんには、どのような添加物が含まれているのだろうか?
肉まんの添加物で味覚障害に?
「コンビニの肉まんには、具材をなめらかでジューシーな味わいにするための『増粘安定剤』や『糊料』、皮を膨らませるための『イーストフード』、皮をしっとりやわらかにするための『乳化剤』などが含まれている可能性があります。また、『膨張剤』『着色料』などを使用している食品メーカーもあるでしょう」
そう語るのは、料理研究家のAさんだ。ただし、Aさんによると「添加物の良し悪しについては、さまざまな立場の専門家や消費者がいるため、一概に『悪』と言い切ることはできません」という。
確かに、コンビニの肉まんを製造している食品メーカーも、添加物を使用する際は食品衛生法に規定された量や種類を遵守しているはずだ。しかし、たとえ日本の厚生労働大臣が指定した添加物であっても、なかには海外では禁止されているものや健康への影響に疑問が残るものも存在する。
「たとえば、『調味料(アミノ酸等)』と記されていることの多い『グルタミン酸ナトリウム』は、俗にいう『うまみ成分』のことで、あらゆる加工食品に添加されています。肉まんにも使用されている可能性があるといえるでしょう」
こう語るのは、フードジャーナリストのBさんだ。さとうきびの糖蜜やでんぷんなどを原料とするグルタミン酸ナトリウムは、もともと人間の体内にも存在している物質のため、国内では安全性に問題はないとされて使用が認められている。
ところが、過剰に摂取すると、顔のほてりや頭痛、吐き気、さらには味覚障害を引き起こす恐れがあるとの報告もある。アメリカではベビーフードへの使用が禁止され、グルタミン酸ナトリウムの入った加工食品を避ける人も多いという。
「また、『増粘剤』『安定剤』『ゲル化剤』などと表示されることの多い『アルギン酸エステル』は、皮をふっくらさせたり具材の食感を良くしたりする働きがあり、コンビニの肉まんにも添加されていることがあります。しかし、アレルギー体質の人が口にすると発疹などの症状が出る可能性がある、と指摘する専門家もいます」(Bさん)
前述のように、コンビニ各社はホームページでアレルギー情報などを明示しているが、添加物については公開されていないのが実情だ。
添加物より危険な消費者の知識不足
もっとも、前出のAさんによれば、本当に危険なのは添加物そのものではないという。
「肉まんに限ったことではありませんが、添加物を摂る上で一番のリスクは『無知』であること。自分が口にする食品にどんな添加物が使われているのか、その添加物はどのような目的で使用され、過去にどのような危険性が報告されているのか。それを知った上で、自分にとってよくないと思うのであれば避けるべきではないでしょうか。あるいは、どうしても肉まんの添加物を摂りたくないというのであれば、自分で作るというのもひとつの方法です」(Aさん)
添加物の安全性については賛否両論があるが、コンビニやメーカー側は消費者にとってネガティブな情報は出そうとしない。すでに、多くの加工食品に添加物が使用されている以上、正しい知識を身につけ、自分自身で良し悪しを判断するべきだろう。健康な食生活を送るためには、消費者がそれぞれ食品に関するリテラシーを高めることがもっとも重要なのだ。
(文=喜屋武良子/清談社)