「南国のリゾート」で頻発する異変
朝鮮半島の西南に浮かぶ韓国・済州島。香川県ほどの面積に64万人が暮らす農漁業と観光の島だ。四国とほぼ同じ緯度に温暖な対馬海流が流れ、もっとも寒い1月の平均気温が6度強。韓国では貴重な「南国のリゾート」として、近年特に開発が進んでいる。
11月1日の午前4時頃、その北部沿岸に広がる繁華街・済州市蓮洞で些細な事件があった。閉店時間を過ぎても居座る4人組の酔客が、退店を促す店員と乱闘を繰り広げたのだ。盛り場ではありふれた日常茶飯事だが、事件は全国ネットで大きく報じられた。理由は、暴行容疑で逮捕・起訴された酔客らがまたしても中国人だったからだ。
【参考:主要マスコミの公式Youtubeチャンネル】
・韓国テレビ地上波キー局MBCの報道
・韓国の代表的なニュース専門チャンネルYTNの報道
島民の4倍近い中国人が押し寄せる島
2015年に日本を訪れた外国人観光客1974万人中、最多は中国人の約499万人。いっぽう韓国は同1323万人中、598万人を中国人が占める。これでも昨年はMERS(中東呼吸器症候群)で伸び悩んだほうだ。今年はすでに11月末までに754万人の中国人が韓国を訪れている。
なかでも人数と増加率で飛び抜けている場所が、済州島だ。済州島を訪問した中国人は12年の108万人から15年は224万人、今年は10月末時点で272万人に達した。外国人訪問客全体に占める割合は86.3%に上る。背景には中国人旅行者のリゾート志向、中国との縁が深い歴史なども指摘されるが、最大の要因は02年から済州島に限ってノービザで滞在できるようになったことだ。
わずか数年のうちに、年単位で島民の4倍近い中国人観光客が押し寄せるようになった済州島。それだけに地元は深刻なトラブルも抱えている。犯罪行為で摘発される中国人は、11年の58人から15年には260人に急増。さらに今年は8月時点で279人を数える。またノービザで入国した後、済州島で不法滞在する外国人は累計8500人ともいわれている。