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ルディー和子「マーケティングの深層と真相」

ユニクロ、「品質悪化」との声広まる…品質維持謳い値上げ→不振ですぐ値下げ、崩れる品質への信頼

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ユニクロの店舗(「Wikipedia」より/Kuha455405)

 本連載前回記事において、メーカーと小売業のメンタリティの違いについて説明した。それを前提に、今回はユニクロについて考えてみたい。

 ユニクロが2014年に秋冬商品を5%、15年に2割の商品を10%と、2年連続で価格を上げたところ客数が減った。それで、今年になって一部商品の値下げをしたというニュースに筆者は驚いた。ユニクロを運営するファーストリテイリングは、そんな企業ではないと思っていたからだ。

 ファストリはSPA(製造小売業)、すなわちメーカー(作り手)であると同時に小売業(売り手)でもある。だが、こと商品(ブランド)に関してはメーカーのメンタリティを持ち、自社ブランドの価値を大切にし、価値に基づいたプライシングをする企業だと思っていた。

『合理的なのに愚かな戦略』(ルディー和子/日本実業出版社)
 アマゾン、総合スーパー、家電量販店が、同じメーカーの同じ商品、たとえばパソナニックの「ヘアードライヤー ナノケア」を異なる価格で売ることは今の時代、メーカーにとってそれほど大きな問題ではない。小売価格が下がることは、パナソニックブランドへの消費者の知覚価値が下がることに直結するわけではないからだ。

「パナソニックのヘアードライヤー ナノケアは優れものだよ。買うならアマゾンだね。あそこなら安いから」という消費者のコメントからわかるように、パナソニックといった企業ブランドやヘアードライヤー ナノケアという商品ブランドの評価が下がるわけではない。

 問題は、ユニクロのような小売とメーカーが一体化している企業が、同一商品の価格を上げ下げすることだ。

 牛丼の吉野家や日本マクドナルドのようなファストフード・チェーンも、作り手でもあり売り手でもある。そして、両社ともに同一商品の価格を上げたり下げたりすることを繰り返した結果、ブランドのイメージが損なわれ、消費者が知覚する価値が下がったという経験を持つ。

 たとえば、マクドナルドは2000年にハンバーガーの平日半額セール(130円→65円)を実施した。これが、ファストフードだけでなく他業界にも値下げの流れをつくったとされ、マクドナルドは「デフレの元凶」呼ばわりされた。そのマクドナルドは、02年には低価格販売の効果が薄れたとして、ハンバーガーの平日の価格を65円から80円に値上げしたが、既存店の売り上げが落ちたため、半年後には59円へと再値下げに追い込まれた。

 同一商品の価格を下げたり上げたりしたことで、消費者のマック商品の知覚価値も下がり、「ファミリーが食事するハッピーな場所」というブランドイメージが損なわれたと指摘されている。

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