ユニクロ、「品質悪化」との声広まる…品質維持謳い値上げ→不振ですぐ値下げ、崩れる品質への信頼
価格を下げるためにコスト削減し、品質が低下したマクドナルド
SPAは、自分の決断で価格を上げ下げできる自由がある半面、商品(ブランド)価値への責任を負っていることも強く自覚する必要がある。
SPAは、価格を変える自由があるどころか、値下げすることで利益が下がるリスクを避けるため、コストを下げる工夫をする自由度も高い。だが、コストを下げる努力が悪い方向に向かうと、マクドナルドのように「安かろう悪かろう」タイプの仕入れ先を使い、期限切れの材料を使った商品を提供するという最悪の結果を招くこともある。
実際にマクドナルドは、期限切れ食肉使用の事実が14年に発覚したことで売り上げは大きく落ちこんだ。最近になって上向き傾向が出てきたとはいえ、2年近くもの間、ブランドイメージの改善に多大な努力を強いられてきた。
SPAは、価格は価値の一要素だという従来の小売業の考え方を採用するのか、あるいは、価格は価値に基づいてつけられるものだというメーカーの考え方を採用するのか。
ユニクロは、かつてはメーカーのように考えていたようだが、最近は小売業の考え方をするようになっているのではないだろうか。
もう覚えている人は少ないと思うが、04年9月に「ユニクロは低価格をやめます」といった広告が新聞に掲載された。当時、ユニクロの製品に対する消費者のイメージは、「安物」「誰もが着ているからダサい」「ユニクロを着ているとバレたくない」というネガティブなものが多く、ユニクロのブランドは下がってきていた。広告は、そういった損なわれそうになったブランドイメージを払拭するための明確な価値宣言だった。
22行の文章だけからなる広告は、「ユニクロはこれまでずっと、より上質なカジュアルを市場最低価格で提供しようと努力してきました。それはこれからも変わることのない、私たちの基本的な姿勢です」との文言から始まる。
そして、「しかし、その低価格であることが、一部のお客様の『ユニクロは安物』という誤解につながっているのかもしれません」と問題点を指摘し、「私たちは、安さだけが特長になるような商品は決してつくりません」とアピールする。続けて、「これからはさらに(品質を上げる)努力を続け、すべての商品を本当に価値のあるものにしていきます」「ですから『低価格をやめる』といっても、価格を下げる努力をやめる訳ではありません」と高品質な商品を提供することを宣言した。