家庭から出されるごみは、分別(ぶんべつ)して資源化されるようになっている。ごみ出しのルールは市町村ごとに決められているが、このルールを自治体行政が自ら破っていたとしたら、由々しき事態といえよう。
一般家庭向けに配布される「ごみカレンダー」では、「可燃ごみ」「不燃ごみ」「資源ごみ」などと分別され、地域・曜日ごとのごみ出しルールが定められている。収集場所に出されたごみは、通常は市町村のごみ収集車が集めて、焼却炉を備えた清掃工場などに運んで燃やす。しかし曜日を間違えて出したり、可燃ごみの中に不燃ごみが混入していたりすると、収集されず放置され、場合によってはペナルティーシールが貼られる。
ごみは焼却処理や埋め立て処分されるが、焼却すれば煙突から有害物が排出され、埋め立て処分も自然環境破壊につながるため、ごみ処理の基本は、資源として再利用してごみの量をできるだけ減らすということである。市民もこの点を理解しているから、ごみの分別・リサイクルに協力している。
しかし、「不燃ごみ」、つまり「燃やしてはいけないごみ」として市民が分別し収集されたプラスティックごみを、行政が誤って焼却するという事件が起こっていた。実際に事件を起こした柳泉園組合を例にとりながら、この問題を報告する。
不燃ごみの8割弱の焼却
不燃ごみ焼却問題を起こしたのは、東京都三多摩地域である東久留米市、清瀬市、西東京市の合計約40万人から出される可燃ごみを焼却する清掃工場である柳泉園組合【注1】。柳泉園組合には、3市から可燃ごみだけでなく、不燃ごみも運ばれてくる。再資源化するために分別したり、最終処分場に運ぶために破砕・減容化するためである。
写真2は、西東京市が不燃ごみの分別方法を示したガイド資料だが、不燃ごみの中に金属、ガラス等の陶磁器などのほか、プラスティック製品類も含めるように指示している。3市では、このようにプラスティック製品類は不燃ごみとして出すように定められている。
ところが柳泉園組合は、その不燃ごみの大半を焼却していたのである。柳泉園組合に3市から運ばれてくる不燃ごみの総量は年間約7000トンに上る。その内5000トン以上を焼却していたことがわかった。