この不燃ごみ焼却問題は2016年夏、西東京市の1市民からの通報でわかり、その後、NPO法人ごみ問題5市連絡会などの市民団体による調査の結果、柳泉園組合の「一般廃棄物処理基本計画」や「多摩地域ごみ実態調査」などのデータ(図表1)上、不燃ごみの約8割弱が焼却されていることがわかった。
市民が不燃ごみとして分別したものが焼却されていれば、ルール違反である。市民団体が交渉を求める抗議書を柳泉園組合に提出して約2カ月経過した2016年10月24日、話し合いが行われた。
構成3市(西東京市、東久留米市、清瀬市)の市民と、柳泉園組合が所在する東村山市の市民、そして周辺自治会からも参加した。市議会議員は、西東京市の森てるお市議、清瀬市の布施由女市議が参加した。
これに対して柳泉園組合は、宮寺克己資源化課長と佐藤元昭技術課課長が対応した。交渉の中で柳泉園組合は、不燃ごみとして集められてきた約8割弱(76~77%)を焼却している事実、実質プラスティック類はほぼ全量焼却していたことを認めたのである。
ところが、この交渉に参加した宮寺課長と佐藤課長は、現状のやり方について反省を示すどころか、今後も続けて行くことが柳泉園組合としての方針であると、驚くべき見解を述べた。
「不燃ごみロンダリング」
柳泉園組合に運ばれてきた不燃ごみは、破砕・選別の工程を通すことによって、大半を可燃ごみにしてしまう「不燃ごみロンダリング」とでも呼ぶべき措置によって焼却していたことがわかった。このような手立てを使ったのは、もちろん「不燃ごみ」は燃やさない、燃やしてはいけないごみとして収集されていることをわかっていたからであろう。
では、なぜ不燃ごみの大半が可燃ごみに化けるのか。不燃ごみロンダリングとはどのような仕組みなのか。その仕組みを以下に明らかにしたい。
柳泉園組合の不燃ごみ処理は、主担当の宮寺課長によると、図表2に示したような流れで処理されていた。
柳泉園組合に運ばれてきた不燃ごみは、全量をコンベアに乗せる。コンベアで流れる不燃ごみの中から作業員がフライパンや鍋などの金属類や電池などの有害物を手作業で抜き取る。しかし、この工程でプラスティック類は抜き取らない。