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松崎のり子「誰が貯めに金は成る」

無理な「毎月○円貯金」厳守でかえって貯蓄貧乏に陥る人たち…無駄なローンやカード払い

文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト
無理な「毎月○円貯金」厳守でかえって貯蓄貧乏に陥る人たち…無駄なローンやカード払いの画像1「Thinkstock」より

 多くのファイナンシャル・プランナーやお金の専門家が必ず口にするのが、「お金には色がない」というフレーズだ。

 給料でもらうお金も、宝くじに当たったお金も、お金はお金。いちいち区別はしない。また、「お金に色をつけるべきではない」ともよく言われる。特に、貯められない人は、お金に色をつけすぎていることが原因になっているケースが多い。

 たとえば、年の初めに「今年こそ100万円貯めよう!」と決意を固め、毎月積み立てを始めたとする。「今、50万円は手元にあるから、あと50万円を貯めるには月4万円の積み立てが必要」という計算になる。

 銀行の自動積立定期預金でせっせとスタートしたまではよかったが、給料日前になると口座には数千円しか残高がなく、「とても生活費が足りない」となったとする。さて、どうしたものか。考えられるのは、給料日まではクレジットカード払いでしのぐか、定期預金を担保に借り入れをするかのどちらかだろう。

 しかし、問題はそれで解決したわけではない。カード払いの代金は別の月に引き落とされ、今度はその月の生活費が足りなくなる。そして、またカードでしのぐ……という繰り返しになるからだ。

 総合口座の借り入れを利用した人も、その返済をすれば、また生活費がショートするだろう。そして、また借り入れる……。ちなみに、定期を担保に借り入れをすると、預金金利に上乗せして0.5%の利息が取られる。どちらの方法も、「貯まらない家計」へのサイクルまっしぐらだ。

「手取りの○%を貯蓄」で家計が火の車に?

 この場合、貯まらない原因はおわかりだろう。月4万円の積み立てが犯人だ。もちろん、支出の管理が甘すぎるケースもあるが、それでも、カード払いや借金をするより、まずは「4万円」という金額を見直すべきだ。

 しかし、これがなかなかできない。「積み立て用」という色が、そのお金にはついているからだ。同じ家計のお金なのに、「貯蓄に回す」と決めたとたん、それは使うための生活費から切り離されてしまう。

 行動経済学に、「メンタルアカウンティング」(心の会計)という用語が出てくる。「我々は、心のなかで用途ごとにお金をきっちり仕分けしている」という意味だが、まさに「積み立て用のお金」は「使うなんて許されないお金」として、心が色付けをしているのだ。

 特に、「手取り収入の〇%を目安に貯蓄しましょう」などという専門家のコメントを読んだりすると、もはや、その○%が“聖域”になってしまう。「100万円貯める」という志は尊いが、くれぐれも、それにとらわれて家計のほうが火の車とならないようにしてほしい。

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。
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