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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

救急車、無料だからタクシー代わり利用多発?いや、有料だと低所得者の命が助からない?

文=新見正則/医学博士、医師
救急車、無料だからタクシー代わり利用多発?いや、有料だと低所得者の命が助からない?の画像1救急車(「Wikipedia」より/下野孝太郎)

 今日は救急車の適正利用のお話です。まず“常識君”がコメントします。

「救急車の要請は119番に電話をします。そして救急車を要請して断られることはありません。セーフティーネットの一環として、行政サービスのひとつとして無料で提供されているのです。日本人であるかとか、日本に住んでいるかとか、税金を払っているかとかは無関係に、全員に無料で提供されている行政サービスです。世界に目を向けると、日本のように無料の国もあれば、数万円以上の請求をされる国もあります。

 問題は、救急車をタクシー代わりに利用する人が後を絶たないことです。救急車の出動回数には限度があります。軽症者やまったく病気ではない人を収容するために救急車が利用されると、本当に命にかかわる人を救命できない事態になりかねません。そこで、救急車を有料化しようという議論が自ずと発生するのです。医師にアンケートを取ると90%以上が有料化に賛成しているという報告もあります」

“極論君”の意見です。

「救急車は無料に決まっています。もしも、出動要請が多くて急病人に対応できないのであれば、救急車の数と人員を増員すればいい。それが社会福祉でしょう。日本がそんな優しい国であることを希望します」

 そこで常識君が、「救急車の数と人員を賄うお金は、税金から補填されるということですよね」と確認すると、極論君は「そうです。セーフティーネットや命にかかわる行政サービスはすべて税金で賄われるべきです」と答えます。

 ここで“非常識君”は、こう意見を述べます。

「タクシー代わりに救急車を呼ぶ人の数を減らさなければ、無駄な税金が使われます。ですから、救急車を有料化すべきだと思っています。出動1回あたり数万円以上のコストがかかるという意見もありますが、数万円を負担してもらう必要はないと思っています。タクシーよりも高額に設定すればいいので、1万円前後ではどうでしょうか?」

健康に関する理不尽

 これを受け、極論君が質問します。

「救急車が1万円もすると、お金がない人は救急車の要請を躊躇することになりかねません。それでは助かる命も助からなくなります」

 非常識君の意見です。

「そうであれば、複数の人が、救急車が必要と認めれば無料にすればどうですか? 」

 極論君のコメントです。

「救急車が有料であることがどうも納得できないのです」

 すると、非常識君はこう意見します。

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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