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鴨川市長選挙の裏に“地元財界の女帝”

にわかに注目を浴びる「鴨川市長選挙」、巨大病院をバックにつけた現職市長vs市民派新人の行方

文=豊島三郎/ライター
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にわかに注目を浴びる「鴨川市長選挙」、巨大病院をバックにつけた現職市長vs市民派新人の行方の画像1現職市長のポスターには、亀田一族の名がズラリ。

 2月5日に投開票された東京都千代田区長選挙は、小池百合子東京都知事vs.自民党都連の“代理戦争”として、日本中から注目された。そんななか、さらにローカルではあるが、2月26日告示・3月5日投開票される千葉県鴨川市の市長選も、ある巨大組織がかかわっていることで、にわかに注目を浴びている。

 多くの人にとっては、鴨川市といえば「鴨川シーワールド」があり、漁業がさかんな町といったイメージくらいしか思いつかないかもしれない。だが、ここには、地元民なら知らぬ人がいない、医療法人「鉄蕉会」が運営する日本屈指の巨大私立総合医療施設「亀田メディカルセンター」の根幹をなす、病床数900以上を誇る「亀田総合病院」があるのだ。

 鉄蕉会の理事長である亀田隆明氏がトップに立ち、幹部に隆明氏の兄弟ら亀田一族が名を連ねるこの医療グループは、鴨川の地で370年の歴史を持ち、天皇陛下の執刀医を務めた天野篤・順天堂大学教授も若き日は亀田総合病院で修業。4年前には東京・京橋にも進出し、グループ全体で500人近い医師を抱え、年間の入院患者数は約1万8000人ともいわれるマンモス医療グループだ。

「当然、地元民もかなりの人数が亀田総合病院の職員として働いている。それだけに市長選は少なからず、亀田グループの意向が影響されます」(市長選を取材している記者)

 市長選に出馬を表明しているのは、3月12日に任期満了になる現職の長谷川孝夫氏(67歳)と、地元選出の自民党の県議・亀田郁夫氏(64歳)。亀田氏は、名字こそ重なるが亀田グループの一族とは無関係で、亀田一族が推すのは長谷川氏だ。

 市長選は2人の一騎打ちになる様相だが、長谷川氏に関してはすでにある問題が噴出している。昨年6月の定例市議会で早くも立候補を表明した長谷川氏に対して、市民から「夏恒例の納涼祭りで、長谷川氏の選挙運動とも受け取れるポスターが会場のあちこちに貼ってあった」という情報が証拠写真と共に提供された。これが選挙違反にあたるのではないかと、強い批判を受けたのだ。

 長谷川氏はすでに8名の地元の有力者に支持を依頼している。亀田典子氏、藤代磯信氏、小高芳男氏、亀田隆明氏、亀田信介氏、亀田省吾氏、鈴木健史氏、小川直男氏の8人だ。納涼祭の会場の入り口に貼られたポスターには、長谷川氏のほかに、この8名の推薦者の名前が大きな文字で書かれてある。なかでも目を引いたのは、小高氏の名前だった。

 小高氏は、舛添要一前東京都知事が“公私混合して利用していた”として一躍有名になった千葉県木更津市のリゾートホテル「竜宮城スパホテル三日月」を経営する三日月グループ会長。鴨川市内でもホテルを経営し、地元に多額の寄付をするなど、同市きっての名士として知られる。さらに、地元への貢献度の高さが認められ、鴨川名誉市民の認定を受けている。

「どの政治家を応援するかはもちろん自由ですが、名誉市民の身でありながら、選挙活動期間でもないのに現職市長のポスターの推薦員として名前を大きく打ち出したことに違和感を持っている地元有志も少なくありません」(前出の記者)

 さらに問題視されているのが、長谷川氏の推薦人のなかに4人も名を連ねている“亀田一族”の存在だという。亀田典子氏は、亀田グループ幹部の隆明氏、信介氏、省吾氏の母親で、地元では“女帝”と評される権力者だが、決して良い評判ばかりではない。

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