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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

【人間ドックとがん検診の真実】無意味で、かえって「悪い事態」のケースも?

文=新見正則/医学博士、医師
【人間ドックとがん検診の真実】無意味で、かえって「悪い事態」のケースも?の画像1「Thinkstock」より

 今回は、人間ドックや検診のお話です。

“極論君”は「早期発見は何より大切だから、機会あるごとに人間ドックや検診は受けるようにしている。少なくとも毎年受けている」という意見の持ち主です。

 一方で“非常識君”は「人間ドックや検診はまったく受けずに、何か調子が悪いときに病院を受診する」というポリシーです。

“常識君”の解説です。

「まず健診と検診がゴチャゴチャにされています。健診は健康診断の略で、健康でない人を幅広く拾い上げることが目的です。検診は特定の病気を発見することが目的で、がんを見つけるのであればがん検診という文言が使用されます。健診には40歳から74歳の公的保険加入者を対象とする特定健診や、学校健診、職場健診などがあります。そうすると本人の希望で行う人間ドックも健康診断に含まれますが、人間ドックでも特定の病気をターゲットにすれば検診の意味合いが強くなります。また、病気の手前で見つけようという『一次予防』と、病気を早く見つけようという『二次予防』という見方から考えると、健診は主に『一次予防』、検診は『二次予防』に強く関連します」

 極論君の意見です。

「検診と健診の違いよりも、僕は長生きしたいのです。ですから、病気になりたくないし、病気があれば早く治すことがよりよい選択肢と思うので、可能な限りたくさんの健診や検診を受けるのです。そして人間ドックには毎年欠かさず行って、すべてのオプション検査をお願いしています」

 非常識君の意見です。

「病気を早く見つけても、症状が出てから見つけても、予後にほとんど差がないということを聞いたことがあります。ですから、人間ドックには行ったことがないし、また地方自治体から来るがん検診などのお誘いはすべて無視しています」

 常識君のコメントです。

「確かにカナダの大規模臨床研究で乳がん検診を行った群と、行わなかった群で生命予後に差がないという結果もあります。また、がん検診の普及で早期の段階のがんが見つかる頻度は上昇しているが、進行したがんが見つかる頻度は変わらないというものもあります。それらの結果を早く見つけても御利益(ごりやく)が少ないと解釈する人もいます。そうであれば、症状が出てからすぐに病院を受診すればいいので、検査に必要な費用や時間が無駄になります」

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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