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六代目山口組の内部崩壊を招いた“新たなる不満”…理解不能な人事と高齢化で組員激減

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『菱の血判 山口組に隠された最大禁忌』(藤原良/サイゾー )

衝撃の分裂から1年半――いまだ膠着状態が続く六代目山口組神戸山口組。その分裂の原因であり、山口組史上最大のタブーに切り込んだ問題作『菱の血判 山口組に隠された最大禁忌』(サイゾー)が話題だ。著者の藤原良氏は、アウトロー分野の取材、執筆については定評のある人物。前回好評を得た最新レポートに続き、今回は、六代目体制が抱える苦悩と未来について、書き下ろしてもらった。

 分裂状態が続く六代目山口組(以下、六代目)と神戸山口組(以下、神戸)。分裂当初は組員数の多さから六代目が優勢との見方もあったが、日を追って六代目からの離脱者が増え、一時は数万人規模だった構成員総数も、現在では実質1万人未満という“内部崩壊状態”によって六代目が劣勢に立たされている。

 先日、逮捕・起訴された六代目系三次団体の組員は、その法廷において「足を洗う」ことを誓った。彼は初犯ではなく、これまでも数回、刑事事件で法廷に立たされているが、今まで一度も言わなかった「暴力団を辞める」という言葉を口にしたのだった。彼は、出所後に自分が所属している組がなくなっているような気がするので現役を降りることにしたという。これは、六代目のさらなる衰退を、その中に身を置く組員自身が感じているということにほかならない。

 六代目から神戸が割って出た原因は、最高幹部同士の軋轢によるところが大きかった。この分裂劇を、ベテラン組員を含む三次団体の組員のほとんどが「分裂したのちに知った」のである。しかし、山口組の現場というものは、三次団体の組員たちによって支えられていることも多い。一般人が、メディアを通してでなく、自身の生活の中で山口組の名に触れることがあるとすれば、そのほとんどは三次団体の組員の言動や行動を起点としている内容のものが多い。マスコミでは最高幹部たちの動向ばかりを追うが、日頃、街で出くわす山口組の組員たちのほとんどは三次団体だったりする。そこにこそ、本当に山口組の本当の“現状”がある。

 六代目系三次団体に所属しているある組員は「上の人事だけでなく、うちらの組内の人事もおかしなことになっとるで」と、舌打ちをしながら話す。

 既出のマスコミ記事を中心に考えると、組の内外にある六代目への不満は直系団体、つまり二次団体に対する、理解され難い人事に起因している面も大きい。だが、実際にはそれだけでなく「上の人事に影響された下の人事」、すなわち三次団体の中でも不可解な昇進や降格といった人事が多発しているというのだ。

 短期間で大出世したある直系団体に属している三次団体では、大出世した組織の体裁を整えるために「長年落ち着いていた序列をあえて崩した」こともあった。一人ひとりの盃の重さを無視して新幹部を誕生させたり、人望あるベテランをないがしろにしたのだ。確かに、組織力強化とか新陳代謝という言葉を使えばそうなのかもしれないが、功労者までもないがしろにするのはいかがなものだろうか。序列を入れ替えて、組員一人ひとりに緊張感を持たせ、競争力を高めようという狙いもあるのかもしれないが、そもそも暴力団に営利企業のような組織論や競争論は必要ない。

 当然、意にそぐわなくなった組員たちは、各自の判断で離脱や引退、そして神戸系列の組へこぞって移籍した。この直系団体は、大出世した途端に過半数以上の傘下の組員を失ったという惨状なのである。本来なら、大出世という勝ち馬に乗るべく必死に組にしがみつき、それどころか他所からこちらに移りたいという移入希望者が順番待ちになってもいいはずだが、六代目では勝ち馬組織ですら、その内部は“新たなる不満”による離脱や引退や移籍が頻発しているのである。

三次団体の組長が高齢化で後継者不足

 繰り返すが、六代目はいまだに数千人規模の構成員数を誇示しているとはいえ、実際のところは、三代目弘道会以外、どれだけの人数が「六代目の看板を担ぐ気でいるのかわからない」という不安定な状況にまで陥っている。

 また、六代目の各組では、組員の高齢化が著しい。そもそも「ケンカの山口」といわれた山口組では、抗争の激しさやシノギの熾烈さから、体がよく動いて懲役にも耐えられる30代の三次団体組長を設けることも多かった。前線の雄はそれぐらいで丁度いいとされていた。そのなかには、抗争で射殺された者や無期懲役刑に服した者も多くいる一方、シャバで現役組長を貫いた者も多い。だが、現在の六代目では、そうした三次団体の組長を60代や70代の長老が務めているケースが多い。これはひとえに、後継者づくりの失敗といえる。

 もともと山口組では、現場主義という発想から、高齢に手がかかった組長は若手に託すかたちで後継者を決めて、自身は組長から退いて組の顧問や相談役に収まり、その後の組織づくりやさらなる後継者育成に大きく貢献した。直系団体もその気質は同じで、各組の顧問や相談役たちからなる山老会なる組織も存在していたほどである。しかし、山口組のさまざま伝統を破壊した六代目にはそういった気質はなく、組織の過酷な老朽化が蔓延している。そして、六代目は分裂した。

 六代目内部では、数年後に自分が所属している組が消滅しているという不安を多くの組員が抱えている。そして、“新たなる不満”による離脱・引退・移籍が激化しているのだ。
(文=藤原 良)

●藤原 良
週刊誌や雑誌・マンガ原作・月刊誌等でアウトロー記事を多数執筆。万物斉同の精神で取材や執筆にあたり、主にアウトロー分野のライターとして定評がある

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