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神戸山口組分裂!「武闘派」織田代表の「偽装離脱」説は完全否定!三つ巴の行方は…

文=沖田臥竜/作家
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神戸山口組分裂!「武闘派」織田代表の「偽装離脱」説は完全否定!三つ巴の行方は…の画像1当記事の筆者・沖田氏も寄稿する『山口組分裂「六神抗争」365日の全内幕』(宝島社)

 六代目山口組分裂後も、その勢力に微塵の衰えも見せていなかった神戸山口組。そんな盤石な組織に亀裂が生じていたなどと、誰が想像することができただろうか。だがその兆しは、4月に入って直ぐに表面化し始めていた。

 神戸山口組組長でもあり、四代目山健組組長でもある井上邦雄親分から絶大な信頼を得ていると思われていた元神戸山口組若頭代行の織田絆誠・山健組副組長(現任俠団体山口組代表)が神戸山口組を割って出て、新たな組織を立ち上げるのではないかと取り沙汰されたのである。

 日増しに強くなっていくその噂に、メディアや警察当局だけでなく業界関係者たちでさえ浮き足立ち始めていた。だが実際は、4月10日に開催された神戸山口組の定例会に、織田氏をはじめ離脱するのでないかと名前が挙がっていた有力幹部組長らが出席したことで、その噂は一端かき消された。しかし、離脱説はその後も根強く残り続け、ゴールデンウィーク突入直後の4月30日に現実のものとなったのだ。

 それでもどこかで、神戸山口組本体を守るための偽装離脱ではないかという憶測が拭いきれていなかったのが事実ではないだろうか。神戸山口組が敵対する六代目山口組との抗争に消極的と見られるなか、井上組長に累が及ばないようにするために、武闘派の織田代表は自らが世間からのそしりを一身に受けても構わないと、神戸山口組を脱退し別組織をつくり、六代目山口組と本格抗争に突入するのではないかとの見方が根強かったのだ。

 だがそうした見方も、4月30日に開かれた記者会見で真っ向から否定されることとなってしまう。任俠団体山口組幹部は会見で、神戸山口組の内部が“悪政”に染まっているとした上で、「(六代目山口組からの分裂は)大義とは名ばかりの一部の上層部の恨みつらみ」などと発言。もしも偽装離脱であるとするならば、そこまで井上組長を悪しざまに言う必要はないだろうという言葉が、任俠団体山口組幹部らの口から次々と飛び出したのである。

織田代表の実績とは?

 

 織田代表の神戸山口組に置ける実績は、なんといっても神戸山口組が誕生し、その後どうなっていくのか、本当に六代目山口組を向こうに回し戦って行くことなどできるのだろうかと不安視されたなかで、それを払拭するほどのデモンストレーションを繰り返してみせたことだろう。例えば、分裂後すぐに敵地名古屋に乗り込んで堂々と食事会を開いてみせたり、全国の至るところに自らが乗り込み示威的行為を展開しながら神戸山口組の士気を上げてみせたことが、何よりの功績になるのではないか。

 そもそも織田代表の評判の高さは、昨日、今日に出来上がったものではない。全盛期には1000人を超えるといわれていた初代倉本組(五代目山口組二次団体)で、二十代の若さにもかかわらず若頭補佐を預かり、ジギリ(業界用語で「親分や組織のための体を張ること」をいう)で長期服役を余儀なくされていたのだが、その精神は徳島刑務所時代にも揺るぎないものだったと語り継がれている。

 その織田代表が神戸山口組を離脱した裏側には、会見で発表された以外にもさまざまな葛藤があることが推察されるが、とにかく第三勢力として三つ目の山口組が誕生したのである。では、それを受けて神戸山口組はどのような動きを見せるのか。

 確かに、織田代表の実力とカリスマ性は並大抵のものではない。しかし、神戸山口組の井上組長が率いる四代目山健組には、決して織田代表に劣らない実力者が幹部に多数存在するのも事実だ。むやみやたらに抗争を煽り立てたいわけではないが、そういった大物幹部たちがこのまま黙っていると考えることは、どうしてもできないのだ。

 そして、六代目山口組の存在だ。六代目山口組サイドは今回のこの事態に対し、どのような方針を示していくのか。任侠団体山口組に置いてもしかりである。なんの計算もなくただ離脱して新団体を発足させたとは考えられない。どの角度から検証してみても、三つの山口組とも現状を静観するということは考えにくく、何かが確実に起きるとしか思えない状況になってしまっているのだ。

 織田代表、そして池田幸治本部長(元神戸山口組若頭補佐)の2人を除いて、神戸山口組では離脱した幹部組員たちに、10日間の猶予を設けている(10日以内であれば、戻ってきてもよいというお達し)。この猶予がどのように作用されるのか。これをひとつの焦点としながら、“三つの山口組”の間で激しい切り崩しが始まりつつあるのではないだろうか。

 2年前の夏。神戸山口組が発足された際に「今後、この争いは経済抗争となる」という声が大きかった。つまりシノギで勝ち得た側が有利になっていくと予測されていたのだが、現在、その声は白々しく空虚な見解だったと消え去っていこうとしている。

(文=沖田臥竜/作家)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。以降、テレビ、雑誌などで、山口組関連や反社会的勢力が関係したニュースなどのコメンテーターとして解説することも多い。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新刊は、元山口組顧問弁護士・山之内幸夫氏との共著『山口組の「光と影」』(サイゾー)。

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