8月27日投開票の茨城県知事選挙は告示日(8月10日)まで1カ月を切り、ここにきて選挙戦がにわかにヒートアップ。また全国的にも注目の選挙となりつつある。
3人が立候補を表明しているが、事実上は現在6期目で全国最長知事の橋本昌茨城県知事(71)と、その長期在任を批判し多選阻止を掲げるドワンゴ取締役、大井川和彦氏(53)の一騎打ちだ。大井川氏は自民党茨城県連をバックにつけ公明党推薦を受けている。
この知事選が全国的に注目されるのには理由がある。
「菅義偉官房長官が2度にわたり茨城に入るなど、安倍政権も大井川氏当選をめざし大いに力を入れている選挙なのです。当初、今回で7選目に挑む橋本知事に、いくら実績があっても長すぎるという多選批判の声が県民の間でも強くなっていた。これに乗じて、地元の水戸一高から東大法学部を経て旧通産省(現経産省)役人となり、今はITの最先端企業、ドワンゴ役員を務める大井川氏は知名度こそ低くても、新しい茨城をつくる若き新パワーとしての期待が県民から高まり、一気に新知事誕生に期待する機運が高まっていたのです」(全国紙県政担当記者)
ところが、ここにきて少し様相が変わってきたという。
「安倍政権が森友学園問題、加計学園疑惑、さらには豊田真由子議員の暴言・暴行事件、稲田朋美防衛相の都議選応援における問題発言で一挙に失速。支持率が30%台前半に転がり落ちた。そこにきて都議選では都民ファースト(以下、都民ファ)の会に大惨敗し、自民党はガタガタの状態です。これには自民党茨城県連内からも『安倍退陣建白書を出さなきゃ、大井川では戦えない』という声さえ出始めたのです。結局建白書は出せなかったものの、自民党王国の茨城ですら安倍政権に不信感を持つ異例の騒動です」(同)
これに意を強くし、一気に声を強めているのが橋本知事陣営だ。県議会議員はいう。
「橋本知事は当初は多選批判には頭を低くしながら外堀を埋める地道な動きをみせていました。例えば連合茨城や県建設業協会、県市長会、農政連など推薦団体をコツコツと集めていた。その数、今は700近くに達しているという。そして比較的弱い県西や県南で地道に集会を開き足腰を固めていた。ところが、ここにきて自民党本部、安倍政権が自爆ぎみで、都議選では都民ファが圧勝。そのため、橋本陣営では都民ファを意識するかのように『市町村ファースト』を標榜、さらには『県民党』も掲げるようになっています」
さらに知事サイドは7月13日には数々の実績を猛アピールした表裏全カラーのA4判チラシを、新聞折り込みで県内一斉にばら撒いた。そのチラシには橋本知事と横綱・稀勢の里がガッチリ握手する写真まで掲載。その写真キャプションは「横綱と共に、郷土のためにがんばり抜きます」。