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舘内端「クルマの危機と未来」

エンジン車とディーゼル車、世界的に禁止へ…社会的役割が終焉、電動車が主流に

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メルセデス・ベンツのエンブレム(「Wikipedia」より/根川大橋)

再燃する排ガス不正


 ディーゼル車が再び排ガス不正疑惑で揺れている。ドイツ検察はメルセデス・ベンツの100万台に上るディーゼル車に、排ガス浄化装置に関する不正の疑いがあるとみている。また、米国司法省はフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)に同様の不正があるとして、連邦地裁に提訴した。さらにオランダ当局は、FCAのディーゼル・エンジンを搭載したスズキの車種「エスクード」で排ガス不正があると検察に通報した。

 2015年に発覚したVWの排ガス不正疑惑だが、同様の疑惑はVWにとどまらず、仏ルノー、仏グループPSA、米ゼネラル・モーターズ(GM)、日産自動車、スズキなど、国を超えて広がっている。ディーゼル車の終焉は近い。

ディーゼル車の人気低下

 
 ヨーロッパでは一時50%近くのシェアを誇ったディーゼル車だが、VWの排ガス不正に始まる一連の疑惑で人気は低下し、15年の52%から20年には37%に低下すると野村証券は予測している。

 もちろん排ガス不正の影響はあるが、主要都市の大気汚染の悪化が止まらないこと、それにともなう自動車の都市部への流入規制が実施されていること、軽油税制の見直しが検討されていることなど、ディーゼル車をめぐる大気環境悪化、規制の強化、経済的な利点の消失など、さまざまな問題が起きていることも、ディーゼル車人気に影を落としている。

ディーゼル車禁止政策

 
 さらに、パリの大気汚染に泣くフランス政府は、2040年までに国内のガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する。それに先駆けてインドは30年までに、ノルウェー、オランダは25年までに禁止する。また、自動車生産大国のドイツも上院で30年までに禁止すべきという決議をしているなど、中長期的なエンジン車排斥の政策が上程されていることもディーゼル車離れを加速させている。

 こうした政策を実のあるものにするために、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)が税制上優遇される一方で、軽油税が高くなる。ディーゼル車の経済的なメリットは失われ、ディーゼル車離れは加速する。

ディーゼル車のメリット

 
 ディーゼル車には多くのメリットがあった。最大のメリットは経済性の高さである。これは燃費の良さと燃料の税金の安さによる。ディーゼル・エンジンは、排ガス規制が強まる前まではガソリン車に比べて1.5倍ほど熱効率が高かった。これは圧縮比が高いことが主たる要因だ。したがってディーゼル車は燃費が良く、燃料代を安く抑えられる。

 ディーゼル・エンジンを使うトラック、バスなどの運航経費を安く抑えることで、経済を発展させようという政策をとる政府が多く、世界的にディーゼル・エンジンの燃料である軽油税はガソリン税に比べて安かった。

 ディーゼル・エンジンの効率の高さ(燃費の良さ)と安い軽油税のおかげで、ディーゼル車の経済性は高かった。とくに長距離を走るユーザーにとっては大きなメリットだった。

 また、ディーゼル・エンジンは低回転で回転力(トルク)が大きい。ゆっくりとエンジンを回していても力があるので、乗り心地も良く、扱いやすかった。回転数の3乗に比例して多くなる摩擦抵抗も少なく、これもディーゼル・エンジンの燃費の良さを補完していた。

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