7月27日、民進党の蓮舫代表が突如、辞任を発表した。二重国籍問題の釈明会見から10日もたたない辞任表明で、「敵前逃亡」という言い方がふさわしいように思う。辞任の理由や背景については方々でさまざまに指摘され、本人ももっともらしく釈明しているが、端的にいって「民進党の体質の問題」がもっとも大きいだろう。
昨年、民主党と維新の党が合併してできた民進党。“安倍一強”に対抗する勢力の結集を強調するあまり、合併を急ぎすぎたこともあり、維新の党は数で優る民主党に対して妥協に妥協を重ねざるを得ず、実質的には民主党による維新の党の吸収合併となった。維新の党の地方議員や支持者のなかには、民主党に吸収されることに反発して離れていった者も少なからずいた。
要するに、「民進党」と看板は掛け替わっても、実質的には民主党のままで、このため党・組織としての体質は、民主党のそれを引きずることになった。具体的に「民主党の体質」とは、「一体性のなさ」「組織だった行動ができない」「保身と自分の利益を最優先に考える議員が多い」「こらえ性がない」「(実際に暴力を使うわけではないが)内ゲバや内輪の罵り合いが大好き」といったことが挙げられる。
醜態をさらして脆くも崩れ去った民主党政権を振り返れば、「政権交代」の目標でまとまっているように見えたのも束の間、何かの問題で行き詰まったり批判されたりすれば、「すぐに表立って身内批判を始める」「スタンドプレーをする議員や閣僚が現れる」「すぐに『ダメだダメだ』と身内に向かって言い始める」など、これらに当てはまる事例は枚挙に暇がない。
蓮舫氏は、のっけから二重国籍問題で発言を二転三転させ、野田佳彦氏を幹事長に据えたあたりから早速、党内の冷ややかな目にさらされた。また、岡田克也代表時代からの野党共闘、特に共産党との共闘を継続したことを党内右派から攻撃された。さらに、東京都議選で「民進党不利、都民ファースト有利」と見て、都議をはじめとする東京の地方議員たちの離党が始まるや突然、小池百合子知事との連携を言い出したものの、離党ドミノは止まらなかった。この頃に、党内での「蓮舫ではダメだ」との認識が決定的となったようだ。
無論、「蓮舫代表を支えよう」と考える勢力もいたわけだが、「一応、蓮舫支持」のフリをしていた勢力が、まず蓮舫批判勢力に転じ、その後ジワジワと親蓮舫勢力は減少していったようだ。「フリだけ蓮舫支持」「ナンチャッテ蓮舫支持」「様子見蓮舫支持」は、もともと多くいたようなので、そもそもの支持基盤が弱く、大くくりでの親蓮舫が減少していくことは織り込み済みだったと考えることもできる。要するに、蓮舫氏の代表辞任は、旧民主党系の体質がゆえに、代表就任時にタイマーでセットされていたようなものであるといえる。
こうしたことに加えて決定打、トリガー(引き金)となったのは、野田氏の後任の幹事長が見つからなかったことだ。こうした民進党、もとい旧民主党系の体質を考えれば、いつまでもつかわからず、批判の矢面に立たされる蓮舫執行部の幹事長ポストなど、単なる貧乏くじであり、引き受け手など出てくるはずがない。つまり、執行部さえ成り立たせることができなくなったことが、最終的な辞任の理由ということのようだ。逆にいえば、蓮舫氏には、そうしたなかにあっても粘り強く後任幹事長を探す胆力がなかったともいえる。